キャリアコンサルタントの独り言 第5回 MRの転職手法:社員紹介による採用について
公開日時 2011/06/21 04:00
株式会社インテリジェンス
DODAキャリアコンサルタント/メディカルグループ マネジャー
堀 学
キャリアカウンセリングにお越しになるMRの方から、「社員紹介の採用」について聞かれることがある。本コラムをご覧になっている皆様も、もしかしたら他社MRから「うちに来ないか」と誘われた経験が、少なからずあるのではないだろうか。今回は社員紹介による採用について述べてみたい。
製薬業界で社員紹介による採用が活発である理由は大きく二つある。一つは、営業先・学会・展示会等で競合企業のMRと知り合いになる機会が多いことが挙げられる。要するに、同じ仕事をしている他社MRの評判を入手しやすく、採用企業としては採用リスクを避けやすいということだ。
また、もう一つの理由として、採用コストのメリットが考えられる。人材紹介会社やヘッドハンターによる採用は、一定の採用コストがかかる。一方で、社員紹介による採用であれば、採用工数は発生するが、募集や採用に関するコストはかからない。もしあるとすれば、社員紹介をした自社MRに対する金銭的報酬(インセンティブ)くらいだ。
社員紹介による採用について、MRの方からは以下のような質問をいただくことが多い。
一つ目は「採用の可能性は高くなるのか?」という質問。これは正直何ともいえない。実際、社員紹介であったとしても不採用になるケースは散見される。実は上記のインセンティブも、紹介したMRが入社した場合に支給されるものである。社員紹介だから採用基準が下がるとは一概には言えない。
二つ目は、「現在の担当エリアで採用されるのか?」という質問だ。実は、現在担当しているエリアはそのままで採用されるというケースはあるらしい。厳密に言えば、一度別のエリアを担当して、また戻るということである。基本的には採用企業側もその点は配慮するようである。3つ目に、「給与は上がるのか?」という質問。これは上がるケースのほうが多い。しかし、あくまでも自社の給与体系の中で評価されるので、給与のアップ率は常識の範囲内である。さらに言えば、MRの採用においては、前の年収に多少色を付けるケースが多いので、社員紹介による採用に限定される話ではない。
最後に、「前職の企業情報を取得されるのではないか?」という質問。一般的に採用企業側は取得しないという前提で採用活動を行っている。しかしながら、その懸念故に社員紹介ではなく、一般公募や人材紹介会社経由などのルートを使って応募される方も多い。
もしあなたが社員紹介の話をもらったのであれば、社員紹介のルートで転職をするか、別のルートで転職をするか、一度お考えになったほうがよい。