キャリアコンサルタントの独り言 第4回 35歳転職限界説(下) ~MRにおける35歳転職限界説~
公開日時 2011/06/01 04:00
株式会社インテリジェンス
DODAキャリアコンサルタント/メディカルグループ マネジャー
堀 学
前回、「一般的には全体の約7割が35歳の方を対象としている求人である」とお伝えしたが、現実としてMRの求人においても、7割程度が35歳未満の方を想定としている求人である。しかし、実は35歳以上でも非管理職としての採用可能性は高く、他業界他職種と比較すると、MRには35歳限界説は否定される。(MRにおける35歳転職限界説)
理由は主に3つある。
第一に、MRは医薬情報担当者という「専門職」である点だ。専門的な知識が必要とされる特殊な職業であり、世間一般に言われる「営業職」とは一線を画している。専門職においては、その知識の有無と深さが求められ、そこに適しているかどうかが選考の基準となる。
第二に、医薬品業界の採用が他業界と異なり、時期によりバブルの様相を呈することがある点だ。例えば、新薬の上市に伴うMRの人員拡大、また昨今の流行である「領域別専門MR」化による組織拡張において、入社時期を限定した大規模な採用活動を行うケースは頻繁に(ある意味、定期的に)散見され、その際には、経験を重視され年齢要件を大幅に緩和させている。もちろん、他業界においても大規模採用が発生するケースはあるもの、医薬品業業界ほど計画的ではない。これは、新製品の業績へのインパクトが他業界に比べて圧倒的に大きいという医薬品業界のビジネス構造に拠るためだ。
第三の理由として、CSOのコントラクトMRやジェネリックメーカーのMRの需要増加だ。CSOとジェネリックメーカーともに言えることだが、業界全体が拡大し、ソリューション提供と拡販において即戦力となりうるMRを求めている。余談ではあるが、業界の急成長に伴い、管理職・教育研修・ベテラン層の募集増加もあり、業界とキャリアの先行きを見据えて、CSOやジェネリックメーカーを転職先として選択される方も増えてきている。
以上、3つの理由により、MRにおける35歳転職限界説は否定されると考える。ただし、前回のコラムでも述べたように、転職可能性は経験次第である。どのキャリアを選ぶにせよ「MRとしての優秀さ」が問われるのが現実であり、日々のディティール活動の中でいかに成果を挙げるかに注力したMRの方は「キャリアを選ぶ」権利を手にすることになるだろう。