【本誌調査】62社の後期開発品を企業別に分析
公開日時 2011/05/11 04:02
ミクス編集部が国内の製薬企業62社を対象に企業別に調べたところ、後期開発品(フェーズ2~申請中)数の上位5社に大塚製薬、田辺三菱が揃ってランクインしたことがわかった。田辺三菱はMSDとともに、全品目数(P2から申請中の品目)に占める申請品目のウェイトが50%を超えており、各品目をみても、多発性硬化症治療薬で高い再発抑制効果が期待されるフィンゴリモド(10年12月に申請)や、経口薬で次世代のC型肝炎治療薬として注目されるテラプレビル(11年1月に申請)といった新規作用機序の有望新薬候補品も含まれる。これは企業別リスト(62社)から分ったもので、同リストを今日、ミクスOnlineにアップした。
開発品数のトップ5企業をみると、ファイザー(42プロジェクト)、アストラゼネカ(38プロジェクト)、GSK(36プロジェクト)、ノバルティスファーマ(31プロジェクト)に続き、内資では大塚製薬、田辺三菱製薬が中外製薬(22プロジェクト)とともにランクインした。
本誌では昨年11月にも同様の調査を実施し、ミクス1月号に掲載(タイトル:「2011年 医療を変える新薬! 国内開発品 60社540プロジェクト」)したが、今回の調査では上位5位の企業の中でアストラゼネカが大幅にプロジェクト数(29→38)を増やしたほか、内資では大塚製薬が開発品数を拡大(17→22プロジェクト)し、上位に入った。アストラゼネカはVEGFRチロシンキナーゼ阻害剤やSrcキナーゼ阻害剤、Chk1キナーゼ阻害剤、TORキナーゼ阻害剤といった新規作用機序の抗がん剤が多数フェーズ1/2入りしたことがプロジェクト数を押し上げた。大塚製薬では抗てんかん薬として販売中のイーケプラの適応拡大(P3入り)や治療用ペプチドワクチンのP2入りなどでプロジェクト数を増やした。
◎武田薬品、第一三共と外資大手 研究開発力の優劣鮮明に
一方、内資大手をみると、品目数ではエーザイが9位(19プロジェクト)、第一三共と武田薬品が11位(17プロジェクト)、アステラス製薬が15位(12プロジェクト)と大手外資との優劣が鮮明になった。第一三共や武田薬品は、外資大手のGSK(36プロジェクト)やノバルティス(31プロジェクト)、アストラゼネカ(38プロジェクト)に比べてプロジェクト数のみならず、「申請中」「申請準備中」のウェイトも小さい。グローバル試験参加による世界同時開発が標準的な方法となり、品目数を拡大、スピードアップしている外資に比べ、内資大手は研究開発力の強化を経営の重点課題に掲げる企業が多いものの、数値でみる限り、外資に水をあけられている格好だ。
とはいうものの、個々の開発品をみると、第一三共ではXa阻害薬エドキサバン(術後静脈血栓塞栓症)や抗RANKL抗体デノスマブ(がん骨転移)といった新規薬剤を含め3品目を申請中で、有望新薬候補品が上市を控える。一方、昨年は不眠治療薬ロゼレムやDPP4治療薬ネシーナなどの国内で発売ラッシュとなった武田薬品では、申請中の3品目をみると、第一三共とは対照的に糖尿病の配合剤や既存薬の適応追加の開発品が目立つ。ロゼレムやネシーナといった新薬の苦戦が伝えられる中、今後の成長に向けて重点領域と位置づけるがん領域の新薬発売に期待がかかるが、モテサニブ(進行性非扁平上皮型非小細胞がん)はP3、ベクティビックスの大腸がんに続く適応拡大に向けた開発がP3(頭頸部がん扁平上皮がん)、AMG386(再発卵巣がん)がP3の段階にあり、上市までには時間をまだ要するだろう。今後の開発の迅速化が課題となりそうだ。
◎申請中のプロジェクト数は田辺三菱が最多 有望新薬候補品も
なお、申請中のプロジェクト数を企業別にみると、最多は田辺三菱製薬(12プロジェクト)。それに、MSD(10プロジェクト)、塩野義製薬(9プロジェクト、申請準備中の6プロジェクト含む)、GSK(8プロジェクト、申請準備中の3プロジェクト含む)、アストラゼネカ、エーザイ、小野薬品、中外製薬、ノバルティス(6プロジェクト)の順に続いた。第一三共と武田薬品は3プロジェクト。
一方、全品目に占める申請品目のウェイトをみると、開発品目数の上位15位以内の企業では、MSDがトップで58.8%(10/17)。次いで、田辺製薬が54.5%(12/22)、塩野義製薬が50%(9/18、申請準備中の6品目含む)、アステラス製薬が41.6%(5/12)、エーザイが31.6%(6/19)だった。
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