キャリアコンサルタントの独り言 第2回 ヘッドハンティングの裏側(下)
公開日時 2011/05/09 04:00
株式会社インテリジェンス
DODAキャリアコンサルタント/メディカルグループ マネジャー
堀 学
前回に引き続き、ヘッドハンティングの裏側についてお話しよう。
ハンティングはあくまで「上級管理職の引き抜き」とイメージする方が多いが、実は異なる。某日系大手製薬企業では、十数名規模でのMRの大量採用を行った際、求人の一般公開による採用工数の手間を省くためハンティングを利用し、社員紹介を除いて全てハンティング経由で採用した事例もある。一般的に想像されるよりも、ハンティングは製薬業界における確固とした採用手法のひとつとして確立されている。
あるいはそもそもハンティングなど、中小メーカーにいる自分には無縁の話だ、と考える方がいるかもしれない。確かに、上級管理職や開発系職種の採用においては、自社より下位にあたるメーカーから採用に至るケースは、残念ながら多くない。しかし、メンバークラスの採用では事情が異なっており、大手といわれる企業では、実は中小メーカーからの採用が大半を占める場合が多い。
優秀な人材の有無は、必ずしも会社規模に依らない、ということは人事担当者もよく分かっているのだ。なお、あるヘッドハンターによると、経験則上、ハンティングで採用に至った場合は9割以上の転職者が待遇向上となるようだが、そのからくりは、中小メーカーから大手メーカーへと移っているケースが多いことも一因だと思われる。
さて、2回にわたりヘッドハンティングの話をしてきたが、仮にあなたが、現状においてヘッドハンターからのアプローチがなく、ハンティングを受けたいと考える場合はどうすればよいのだろうか。
ルートは3つある。ひとつはハンティング会社に登録することだ。ハンティングを受けるために登録をすることは違和感があるかもしれないが、ウェブなどで一般登録を受け付けているサーチファームは意外に多い。二つ目は、ハンティングを受けている、あるいは受けていると思われる知人・同僚にハンターを紹介してもらうことだ。個人リソースの増加はハンターとしてはうれしい話だ(もちろん、それが優秀な方であればあるほど)。3つ目は、『目立つ』ことだ。優れた業績や実績を出し、社内外で目立った活躍をすれば、自ずとハンターから声は掛かる。
ただし、3つのルートはいずれにせよ、採用を予定している企業が「ぜひ欲しい」と思う実績を有していることが大前提となることを忘れてはない。