ノバルティス 免疫抑制剤サーティカン 腎移植の拒絶反応抑制の効能追加を申請
公開日時 2011/02/28 04:01
ノバルティス ファーマは2月25日、免疫抑制剤(mTOR阻害薬)「サーティカン」(一般名:エベロリムス)について、「腎移植における拒絶反応の抑制」の効能追加申請を同日に行ったと発表した。腎移植における現在の免疫抑制療法では、関連性に不明な点があるものの、免疫抑制剤による移植腎の機能低下といった副作用が指摘されており、新たな免疫抑制剤が望まれていた。腎移植を受けた患者は2009年度で1312例。
移植腎の機能低下に関しては、既存の免疫抑制剤であるシクロスポリン(一般名)やタクロリムス(同)といったカルシニューリン阻害薬によるものか、それとも移植腎の拒絶反応によるものか不明な点も多く、研究課題となっている。しかし、カルシニューリン阻害薬をできるだけ減量する方向で処方されているのが実態だ。
今回申請したサーティカンはカルシニューリン阻害薬と併用して使用するが、拒絶反応を増加させることなく、カルシニューリン阻害薬の投与量を従来より減量させることができるという。臨床試験で使用したカルシニューリン阻害薬はシクロスポリン。ノバルティスは、「(サーティカンは)これからの腎移植において重要な治療の選択肢になるものと期待される」とコメントしている。
サーティカンは細胞の成長、増殖、生存及び血管新生などに関わる細胞内情報伝達分子である哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)に結合し、主にインターロイキン-2によるT細胞の増殖を抑制することで免疫抑制作用を示すと考えられている。世界85か国以上で承認され、日本では2007年1月に「心移植における拒絶反応の抑制」で承認された。また、サーティカンの主成分のエベロリムスは抗がん剤として10年1月に販売名「アフィニトール」として、「根治切除不能または転移性の腎細胞がん」の適応症で承認されている。