【ISCリポート】POINT試験 急性期患者へのアスピリン+loading doseクロピドグレルの有効性を検討
公開日時 2011/02/16 06:30
一過性脳虚血発作(TIA)と軽症虚血性脳卒中患者の急性期における虚血性血管イベントの予防において、アスピリンとクロピドグレル併用の意義を検討する無作為化二重盲検多施設試験「POINT(Platelet-Oriented Inhibition in New TIA and minor ischemic stroke)」の概要が、米国・ロサンゼルスで開催された国際脳卒中学会(ISC)のポスターセッションで10日発表された。
被験者はTIA(脳卒中再発リスクを予測するスケール・ABCD2スコア4以上と定義)または、軽症虚血性脳卒中(脳卒中重症度スケール・NIHSS で3以下)のリスクが高く、1日当り50~325mgのアスピリンを投与されている18才以上の患者。しびれや視覚変化、めまいなどの症状が1つしかないTIAや、血栓溶解や動脈内膜切除などが必要と判断される症例などは除外する。
虚血症状がなくなったとわかった時点から12時間以内に、1対1の割合でクロピドグレル群(Loading dose:600mg/日、その後75mg/日)か、プラセボ群に無作為に割り付け、無作為化から90日間追跡する。主要評価項目は、90日目までに発生した複合虚血性血管イベント(虚血性脳卒中、心筋梗塞、血管死の複合)。試験は開始されたばかりで、1月末現在で149例が登録されている。最終的には4150例の登録を目指し、試験は7年間で終了する予定としている。
同試験の主任研究者である米・カリフォルニア大サンフランシスコ校のS. Claiborne Johnston氏は同誌とのインタビューで、「TIAと軽症虚血性脳卒中を発症した急性期の患者は、その後の再発リスクが高いにも関わらず、最適な抗血栓療法が検討されたことがない」と同試験の意義を強調した。
急性期虚血性脳卒中患者への標準療法はアスピリンとされているが、「主要評価項目の発症率がクロピドグレル群で低下すれば、アスピリンに加えてクロピドグレルを600mg loading doseで開始し、その後75mg/日の併用療法を継続するという治療戦略が、新たな標準治療になる可能性がある」と同試験の結果に期待感を示した。