サノフィのIniparib トリプルネガティブ乳がんの米フェーズ3で有意差出ず
公開日時 2011/02/03 04:01
サノフィ・アベンティス日本法人は2月2日、転移性トリプルネガティブ乳がん(mTNBC)患者を対象に米国で行われたPARP阻害剤Iniparib(BSI-201)のフェーズ3で、主要評価項目である全生存期間と無増悪生存期間で有意差が出なかったと発表した。ただし、2次治療、3次治療として投与を受けた患者では、有意差の有無まで明かしていないが、いずれの評価項目でも「改善することが示されている」としている。そのため同社はさらなる解析を行うとともに、他の肺がんなどに対する治験も継続する。日本では固形がんを対象にフェーズ1段階。
この発表は仏本社の1月27日付プレスリリースの日本語訳。試験は米国109施設から519人の患者が登録。ゲムシタビンとカルポプラチン投与群(化学療法群)と、それにIniparibを加えた群(Iniparib群)のいずれかに無作為で割りつけられた。数値含め詳しいデータは明かしていない。仏本社は、今回のデータについて「近く米国および欧州の保健当局と協議する予定」としている。
mTNBCは予後が悪いことから治療薬開発が待たれる。同剤は期待されていたものの1つで、フェーズ2(多施設共同ランダム化オープンラベル試験)では、ゲムシタビンとカルポプラチン投与群に比べ、両剤にIniparibを加えた群は全生存期間を5ヵ月近く有意に改善し、12.3ヵ月という結果を残していた。それは10年10月の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表され、今年1月にはニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載された。