クイックレスポンス
公開日時 2011/01/18 04:00
連絡をもらったら、すぐに返事をするのはビジネスの基本。クイックレスポンスの大切さ、それは転職でも同じである。
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商社に勤務するSさん(33歳)は、海外で展開しているニュービジネスを日本に導入するプロジェクトに携わってきた。Sさんのキャリア、Sさんと話した時に感じられる鋭い視点・深い洞察は、彼が優秀な頭脳を持っていることを明示していた。
会社が彼の専門分野から撤退することを決めたために、転職することになったSさんだが、これまで彼は、順調なキャリアを歩んできたといっていい。我々のところに来たSさんには、その表情から、たしかな自信が感じられた。
選考は、はじめの頃、順調に進んでいた。だが、諸々のやりとりをするなかで、ひとつ、我々が気になっていることがあった。メール・電話に対する、Sさんのレスポンスが微妙に、いや、かなり遅いのである。
多忙なSさんなので、仕方のない面もあろう。しかし、彼の性格もそれに関係していると我々はみていた。
結論に飛びつかない、十分に状況を咀嚼し、熟慮してから判断を下す。それは、比較的若い頃から大きな仕事を任されてきたSさんのビジネススタイルだったのだろう。
返信されてくるメールの内容は、理路整然としたもので、決断がブレるということはなかったのだが、Sさんには、打てばすぐに響いてくるという感じがしなかったのも事実だった。
そして、それは彼の転職に大きな影響を与えることになった。
Sさんの応募先は一部商社もあったのだが、多くはニュービジネスを展開するベンチャー企業だった。ベンチャーで強く求められるもの、それはスピード感覚である。
Sさんのレスポンスの遅さは、選考のテンポを鈍らせ、彼がもっとも興味を示していた企業では、当初、最有力候補だったにも関わらず、他の人に出し抜かれる結果となったのだ。
メーカー営業職Yさん(27歳)は地頭の良さはあったのだが、営業らしからぬ押しの弱さで、各選考で苦戦をしていた。
Yさんに話し下手という印象はない。むしろ、よく喋る方なのだが、その喋りが、どこか相手に対してビクビクしているような、相手の顔色をうかがいながら先回りして、要らぬフォローを入れてばかりいるような、そんな話し方なのだ。
ただ、Yさんにも、ひとつ感心するところがあった。レスポンスが非常に早いのだ。
おそらくそれは、彼の話し方と同じで、とにかく相手の機嫌を損ねないようにという怖れが根底にあったと思われるのだが、とにかく、仕事中でも、休みの日でも、すぐに込み入った話が出来ない時でも、まずは一回連絡が来て「いつまでに連絡します」と言ってきてくれるのである。
このクイックレスポンスは転職活動でも、大きな助けになっている。
食品メーカーA社の営業職で入社日直前の辞退があり、人事から我々のところに「なんとかならないか?」という泣きの連絡があった。
「誰でも良いから採用したいわけではないが、とにかく上(社長)を落ち着かせる意味で、すぐに面接できる人を捜してもらえないだろうか?明日夕方なら社長面接も都合がつく」というのだ。
いきなり明日と言われて困ったが、数人に連絡をした中で、最も速くレスポンスがあったのがYさんだった。
「どうなるか分からないが、行ってみませんか?」
「お願いします」
と、即決で面接が組まれ、翌日YさんはA社に向かった。
「昨日話を聞いたばかりで、御社のことをしっかり勉強出来ていないのですが…」
いつものように、言い訳トークをするYさんだったが、急な辞退で頭に血が上っていた社長には、これがうまくハマってくれた。
こうなると人事としても、Yさんをむげに扱うわけにもいかない。翌週、営業トップとの面接が組まれ、Yさんは社長との再面接をクリアすれば内定というところまで来ている。
不思議なもので、転職活動にはテンポというものがある。肌感覚の話になるが、連絡がスムーズで、ポン・ポン・ポンと日程が決まると、内定になりやすいのはもちろん、入社後もスムーズにいくことが多いように感じられる。
決して日程調整役の我々のために言っているのではない。クイックレスポンスは、転職活動でも武器になるのである。
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