【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

J&J幹部が謝罪も、民主・共和の選挙への思惑も絡む・米公聴会

公開日時 2010/10/18 04:00

米下院監視・政府改革委員会(COGR)は、9月30日、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)子会社マクニール・コンシューマー・ヘルスケアのOTC消炎鎮痛剤の回収問題について公聴会を開催、参考人として発言したJ&JのBill Weldon CEOは、「大衆を失望させた」と謝罪、「マクニールの問題について完全に説明責任を負っている」とし、OTC薬供給再開に向けた努力をすると誓った。米「ニューヨークタイムズ」、「ウオールストリートジャーナル」、米議会専門紙「The Hill」など複数媒体が報じた。


前回、4月開催の公聴会には欠席したWeldon会長が出席したほか、同社のOTC事業に責任を持つColleen Goggins氏、FDA(食品医薬品局)からは、Joshua Sharfstein副長官が参考人にとして出席、COGR委員は参考人に厳しい質問を浴びせた。


Weldon CEOは、製造上の問題で回収を行ったことに対して、「(マクニールが)品質を維持できず、結果として、こどもたちに必要な薬剤を届けることができなくなった」と品質管理に問題があったことを認め、消費者に迷惑をかけたことを謝罪した。また、実質的な回収でありながら、業者を雇用、薬局等で消炎鎮痛剤モトリンを買い上げた、いわゆる「幽霊回収」問題については、「誤りをした」と認め、「FDAに、我々が回収中であることを話すべきだった」としたが、「消費者にはきちんと知らせていたと感じる」と情報公開を行っていたと釈明した。前回Weldon氏の代理として公聴会に出席したマクニールの責任者であるGogginns氏は、幽霊回収については、「その時点で回収だとは知らなかった」と発言した。


幽霊回収については、前回の公聴会で組織的な指示を示す文書が明らかにされたが、Weldon氏は、「組織のなかで交わされた会話の内容について話すことはできない」と、詳細を述べることを拒否、この点については曖昧なままに終わった。


COGR委員の矛先はFDAにも向けられた。Darrell Issa議員(共和党、カリフォルニア州選出)は、「FDAはこの問題では、注意怠慢、欠陥だらけ、不正直だ」とFDAが適切な対応をしなかったと非難した。 


FDAのJoshua Sherfstein副長官は、マクニールの設備に多数の不備を発見したが、「FDAが迅速かつ徹底的な方法で調査、改善を促せなかった」と反省したが、同社から改善の報告内容を評価している段階だと答えた。同副長官は、FDAは幽霊回収については知らなかったと発言したが、「FDAはもっと手段を講ずるべきことがあった」とFDAの不備を認めた。


Edolphus Towns委員長(民主党、ニューヨーク州選出)は、FDAが早めに異常に気づいても強制回収の権限を持っていないので、適切な措置が取られたかわからないと前置きし、「FDAに回収の権限をもたせる」ことを提案した。 Sherfstein副長官は、「今回の事件は、FDAに回収権限を持たせる必要性を示す好例」とTowns委員長の発言を歓迎、権限付与の動きが高まることに期待感を示した。


Issa議員は、「我々は政府を監視している」と発言したのに対し、民主党のDennis Kucinchiは「政府を監視するばかりでなく、民間部門を監視する」と民主・共和両党で質問の切り口に違いを見せた点に両党の基本スタンスが浮き彫りにされた。


共和党議員は主にFDAが消費者保護に手抜かりがあったとの観点から追及したのに対し、民主党議員は、J&J、マクニールが株主優先、利潤追求至上主義を貫き問題、また、FDAは権限強化が必要のではないかとの観点から追及した。


民主党は、英BPによるメキシコ湾の油田爆発事故など民間企業の不祥事には規制強化が必要と考える一方、共和党は、民間企業にコストを強いるような規制強化は望んでいない。
両党とも11月2日に予定されている中間選挙を念頭に置き、国民に両党をアピールしようという思惑もあると見られている。

 

プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(0)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー