面接中断のエアポケット
公開日時 2010/06/23 04:00
仕事の都合・面接官の急用・体調不良…。さまざま理由で面接は中断される。そして、そのとき事件は起きるのだ。
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エンジニアのTさん(33歳)は、開発マネージャーに会うため、A社の工場を訪問した。エンジニア同士の初対面のぎこちなさはありつつも、面接はまずまずといった内容で終わりとなった。
一通りの質疑を終えたあと、開発マネージャーは最後に、A社製品の詳細を知ってもらおうと「資料がありますので」と、言い残し、その場を外した。
だが、Tさんはこれを「仕事がありますので」と、勘違いしてしまっていた。
マネージャーが戻ってくると、応接室には誰もいなかった。Tさんが電源を切ったままにしていたため、携帯電話もつながらない。その辺を見学でもしているのだろうか?しかし、工場には危険な場所もある。ひょっとして、事故が起きたのではないか…。
この後、A社はTさん捜索の大騒ぎとなった。
企業に問題があったケースも取り上げよう。
商社B社で面接中だった営業Sさん(29歳)は、途中、携帯電話に着信があったのに気づき「申し訳ありません」と言って、部屋を退出して電話に出た。
といっても、これは承諾を受けた上での行為。B社が急遽「明日、面接が出来ないだろうか?」と連絡をしてきたので、Sさんは「仕事を休めないので、もし面接中に電話が鳴ったら、応対させてもらいたい」と採用担当者に申し出て了解を得ていたのだ。
だが、戻ってくると、質問を遮られた役員は「常識をわきまえなさい」と苦言を述べた。もちろん、Sさんはすぐに抗弁。同席していた採用担当者は、役員に事情を説明していなかったことをSさんに謝罪することとなった。
ネットベンチャーC社のCIO(情報部門責任者)は、システムエンジニアKさん(26歳)の面接中に即対応しなければならない仕事の連絡が入り、「すみませんが、10分だけ待っていてください」と言って、面接室をあとにした。
だが、電話の対応に夢中になるあまり、Kさんを待たせているのをすっかり忘れてしまい、そのまま彼を2時間近く放置してしまった。
面接中断で起きるさまざまな事態。我々がなにより気になるのは、ここで紹介した3例が、いずれも「不合格」という結果に終わっていることだ。
最初のTさんの例は言うに及ばず、一方的に企業に非があるといっていい、第2・第3のケースも、面接中断は悪い方に転んでいた。
電話に出たSさんのケースでは
「たしかに悪かったのはこちら。しかし、あんなに露骨に嫌な顔をして、強硬に反論することはないでしょう。営業職なのだから、もっと当たりの柔らかい対応でなければ」
と言われてしまい、待ちぼうけをくらったKさんは
「忘れてしまったことについてはお詫びするしかないが、2時間も黙って待っているなんてどうかしている。誰かに問い合わせようと思わなかったのか?C社はベンチャー企業。ルーティーンだけでなく、次々と色々なことが起きる会社。不測の時には機転をきかせなければやっていけない」
と、対応のまずさを指摘された。
企業側の論理にもうなずくところはある。
ただ、我々が面談をした時の印象でいえば、Sさんは非常に人当たりが良かったし、Kさんは1を聞いて10を知るような頭の回転の速いタイプだった。この不採用は、面接の中断で気が緩んだために起きたことだったように思えるのだ。
緊張の時間が思いがけず途切れると、ついホッと息をぬいてしまいがちだが、そういう時こそ危険がひそんでいる。
短い時間で人間が評価されてしまう面接。そのなかにおいては中断時といえども気を抜いてはならないのだ。
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