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最高の会社に出会う不幸

公開日時 2010/05/11 04:00

Tさんは転職活動のなかで、最高に相性の良い会社に出会ったのだが…。

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広報のTさん(30歳)は環境技術ベンチャーA社の求人に応募、長い期間をかけて、ひとつずつ面接をこなしていた。
選考に日数がかかったのは、Tさんが現職の仕事で忙しかったこともあるが、A社サイドの都合がメインだった。A社は、広報の専任を起きたいと考えてはいたものの、現状の総務兼任でも業務はまわっており、よりニーズの強い経理の採用面接を優先していたのだ。

 

割を食ったかっこうのTさんだったが、環境関連の企業に行きたいという当初の希望に加え、「A社のスタッフは優秀なのに肩に力が入っていない。自然体な感じに非常に惹かれる」と、社風をいたく気に入り、選考が進むのをのんびり待つことにしたのだった。
たしかにキャラクター的にTさんはA社に合っていたようだ。A社では誰が面接に出てきても、Tさんの人物評価はAプラス。面接後、そのまま食事に誘われ、総務・広報部門以外のスタッフと親交を深める機会も複数回あったという。

 

リレーションがこれ以上ないほど深かまった頃、やや変わった面接(面会)の案内がTさんのところに届いた。A社は社内の人的交流のために行っている社員旅行に、Tさんも招待したいというのである。

 

土曜の午前中にゲーム形式の研修を行い、そのまま都内のホテルで一泊というお手軽プランだったこともあり、Tさんはぜひにとこれを受けた。
A社の人達とチームを組んでコミュニケーションゲームに真剣に取り組み、昼は焼き肉バイキングをほおばり、午後からはスパで役員とサウナで我慢くらべ。夜は夜でボーリングに興じ、とTさんはA社の社員旅行を心ゆくまで満喫した。

 

この研修旅行でTさんが、いっそうA社に転職したいという思いを強くしたのは当然のことだろう。A社の方でも、Tさんは「当然入社するのだろう」と思い込んでいた人が多くいた。
だが、結局、Tさんはもう1度社長面接に呼ばれ、その後に不採用の連絡をもらうことになってしまった。

 

聞けば、少し前からトップの判断は「広報の専任職はまだ必要ない」という方向に傾いていたらしい。だが、役員の一人、人事、スタッフ部門のマネージャーが「こんなにA社にしっくり来る人はいない。何度も会ってもらえば情が移って採用になるだろう」と考えて、社員旅行にまで招待したということだとか。
諦めずに可能性をさぐってくれたことは有り難いのだが、結論を引っ張るだけ引っ張ったことで、TさんはA社への思いを断ち切れなくなってしまった。

 

「他の会社の面接にいっても、どうしてもA社と比較してしまうんです」

 

A社よりも待遇の良い会社、安定した上場会社の面接にいっても、Tさんのモチベーションが上がることはなかった。
「A社と縁がなかった時点で、自分の転職活動は終わっていたようです」
Tさんはそう言い残して、転職活動を休止。我々のところから去っていった。

 

星の数ほどある会社の中から、自分と相性の良い会社に出会えることは幸運である。しかし、Tさんのように、出会ってしまったが故の不幸というものもある。
相性の良い会社に必ずしも入社できるとは限らず、思い入れが強くなればなるほど、他の会社は色あせて見える。その結果、転職理由を何も解決できずに、転職活動を辞めてしまう。
せっかく勇気を出して一歩踏み出したにも関わらず、何も変わらない。そんな悲しい話をなくすにはどうしたらよいのかと、日々考える我々なのである。


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