ノバルティスの抗がん剤グリベックの成功を目の当たりにしたビッグ・ファーマは、ここにきて希少疾病用医薬品への関心を強めているようだ。グリベックは01年にニッチな市場である慢性骨髄性白血病の治療薬として発売した。初期の売上は1億5,300万ドルに過ぎなかったが、徐々に適応拡大を続け、05年には22億ドル、09年には39億ドルにまで達した。現在では12適応症を持ち、同社2番目のベストセラー薬にまで成長した。
同剤は希少疾病薬でありながら、ブロックバスターの地位を獲得した稀有な例といわれる。ジェンザイムのゴーシェ病治療薬のセレザイムも10億ドルの売上に達したが、94年発売後13年かかった。こんなに長く投資家は待っていられない。
最近、ファイザーはProtalix Bio Therapeuticsからゴーシェ病治療薬taligluseraseの開発・商業権を獲得した。グラクソスミスクラインもまた、オランダのProsensaとデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬の共同開発・商業化契約を締結した。ノバルティスは、米国に300-500人程度の患者しかいない遺伝性自己免疫疾患治療薬Ilaris(canakinumab)を発売した。
希少疾病薬分野で多角化戦略を取るビッグ・ファーマで誰が勝者となるか分からないが、少なくとも患者が勝者であることは確かなようだ。
(The Pink Sheet 3月1日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから