アステラス プログラフGE巡るFDAに対する訴訟取り下げ
公開日時 2009/11/27 04:00
アステラス製薬は11月26日、臓器移植患者が使用する経口免疫抑制剤プログラフ(一般名:タクロリムス水和物)のジェネリック(GE)の有効性と安全性を確保するための規制を米FDAに求めた請願が8月に実質的に却下されたことに対し、その妥当性を問うためワシントンD.C連邦地裁に起こしていた訴訟を取り下げたと発表した。
プログラフのGEについては、生物学的同等性試験は健常人のみでよいとするFDAに対し、アステラスは、健常人に加えて臓器移植患者においても生物学的同等性試験を実施することなどを主張し、規制見直しを公式に求めることができる「市民請願」を用いて、FDAに対応を求めていた。患者は平均10種の薬剤を服用しており、吸収率や臨床効果が他剤との相互作用など様々な治療状況により左右されるおそれがあるとし、治療域が狭いという薬剤の性質から、血中濃度の微妙な差が有効性、安全性に多大な影響を及ぼすことを理由に挙げていた。
しかし、アステラスの市民請願をFDAが却下。アステラスはGEの承認の仮差し止め請求をワシントンD.C連邦地裁に行ったが、棄却。併せて市民請願却下の判断の妥当性についてFDAを相手取り提訴していた。
その訴訟を今回取り下げた理由についてアステラスは、「今も市民請願の内容と同じ立場にはあるが、様々なオプションを考えたところ、さらなる法的措置を追求することより、患者さんのためを考え、移植医療、適正使用をより推進する方がよいということになった」(広報部)としている。
プログラフは09年度の同剤の北米売上高を当初は822億円(08年度実績888億円)と見込んでいたが、GEとの競合が本格化すると見込み666億円に下方修正している。