一流MRの自分自身への質問→変身術
公開日時 2009/12/02 04:00
質問の有効性
キー・ドクターのことを、より深く知りたい時は、思い切って、そのドクターに質問することが最善の方法であることを、一流MRは知っている。しかし、自分自身に質問することが自分を劇的に変化させる魔法の方法であることを知るMRは少ない。
自分への質問の有効性
『質問思考の技術』(マリリー・G・アダムス著、中西真雄美訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)を読んだことのあるMRと、読んだことのないMRとでは、MR活動にとどまらず、人生全体で大きな差が生じてくる。まして、この本で学んだことをきっちりと実行しているMRには、とても太刀打ちできないだろう
この技術を身につけるには、先ず、「自分自身に効果的な質問をすることで、思考、行動、その結果を変えることができる」ことを知る必要がある。次に、「自分への質問には、『批判者の質問』と『学習者の質問』の2種類がある」ことを知らねばならない。「批判者の質問」とは、「誰のせいだろう?」、「私のどこがいけないのだろう? 彼らのどこがいけないのだろう?」、「どうしてこんなに失敗ばかりするんだ? 彼らはなぜあんなに愚かなんだ?」といった質問である。つまり、批判者は習慣的に反応してしまう、責任追及型になってしまう、相手とWin-Loseの関係になってしまうのだ。一方、「学習者の質問」とは、「何が起きているのだろう? ここでは何が役立つだろう? 私の望みは何だろう?」、「何を学べるだろう? 相手は何を考え、感じ、必要とし、望んでいるのだろう? 私は何に責任を持つべきだろう?」、「何が可能だろう? どんな選択ができるだろう? 今、何をするのがベストだろう?」というような質問である。すなわち、学習者は考え抜いて選択する、問題解決集中型になる、相手とWin-Winの関係になるのである。ここで重要なのは、批判者も「学習者の質問」をすることによって、批判者から学習者へ変身することが可能だということである。「私はこの口喧嘩に勝ちたいの? それとも相手と有意義な時間を過ごしたいの?」といった簡単な質問で、批判者から学習者に自分をスイッチすることができるのだ。
さらに、自分が批判者になっていないか、「自分自身を観察する」ことを、著者は勧めている。聖人でない私たちは、ともすれば批判者になりがちであるが、批判者でいる時間が短くなり、学習者でいる時間が長くなるように心掛けろ、というのだ。自分の中の批判者を認め、学習者にスイッチし、学習者の立場で行動すれば、人生はかなりシンプルになる。これこそが質問思考の究極的なゴールなのだ。そして、この質問術は個人にとどまらず、組織のレベルでも応用可能である。ぜひ、この質問術を実行して、「質問を変えれば人生を変えられる」ことを実感してほしい。
遊び心・ユーモアの有効性
『ハイ・コンセプト――「新しいこと」を考え出す人の時代』(ダニエル・ピンク著、大前研一訳、三笠書房)は、 6つの感性――「機能」だけでなく「デザイン」、「議論」よりは「物語」、「個別」よりも「全体の調和」、「論理」ではなく「共感」、「まじめ」だけでなく「遊び心」、「モノ」よりも「生きがい」――を磨くことを勧めている。
この中で、私は、特に「遊び心」の重要性に注目している。「遊び心」は仕事や個人の幸福を追求する上で重要な位置を占めつつある。ユーモアは「文脈中の状況を見極める力」、「全体像を見る力」、「異なる観点から新しい関係を作り上げる力」を含んでおり、対立心を和らげ、非難を逸らせ、緊張を減らし、伝えにくいメッセージを伝えるのに役立つ、というのだ。調査によれば、最も有能な経営者たちは、ごく普通のマネジャーたちに比べて2倍もユーモアを用いているという。
私の周辺を見ても、ユーモアのセンスがある人は、風通しのよい組織づくりに大いに貢献している。「オヤジ・ギャグ」と蔑まれようが、気の利いた洒落(私は「駄洒落」という表現を好まない)を飛ばすには、それなりの工夫・努力が要る。洒落のレベルをアップさせるための日頃の訓練、皆を楽しませようとするサービス精神、自分をも客観的に眺めて笑い飛ばす精神的余裕、誰かを傷つける虞がないかという心配り、洒落を飛ばす絶妙なタイミングを計るべく場の空気を読む力――人知れず、これらの技を磨いているのだ(笑)。