抗EGFR抗体パニツムマブ KRAS変異なしで有効 国際臨床試験の解析で
公開日時 2009/08/26 04:01
武田薬品の子会社の武田バイオ開発センターが6月に日本で進行・再発の結腸・直腸癌の治療薬として承認申請した抗EGFR抗体パニツムマブについて、患者のKRAS遺伝子の変異の有無による効果の違いをみる臨床試験解析結果が発表された。武田薬品の8月24日の発表によると、KRAS遺伝子が変異していない患者では、標準的なFOLFIRI療法に比べ、同療法とパニツムマブを併用した方が、無増悪生存期間を有意に延長した。これら試験結果は、参考情報として厚生労働省に追加報告する予定という。
抗EGFR抗体は、腫瘍の増殖に関わるEGFRからのシグナルをブロックすることで増殖を抑制する。しかし、KRAS遺伝子が変異しているとシグナルのブロックがうまくいかず、薬効が落ちてしまう。そのため抗EGFR抗体ではKRAS遺伝子の変異の有無が薬効を作用するバイオマーカーとして注目されている。
そこで武田バイオと米アムジェンが日米欧で実施した追加的なフェーズ3の中で、KRAS遺伝子変異の有無により治療効果を解析することにした。セカンドラインの1186例の患者のうち、9割以上でKRAS遺伝子の有無を確認。そのうち武田によると、約4割が変異がある患者だったという。
無増悪生存期間と全生存期間を主要評価項目に試験を行い、解析した。その結果、発表によると、KRAS遺伝子が変異していない患者ではFOLFIRI療法に比べ、同療法とパニツムマブを併用した方が、無増悪生存期間を有意に延長した。しかし、全生存期間の比較では有意差はみられなかった。KRAS遺伝子の変異がある患者では、無増悪生存期間も全生存期間も延長は認められなかった。
なお、試験結果の詳細は明らかにしておらず、9月の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表するとしている。