アステラス FDAに求めた免疫抑制剤GEの安全規制は却下
公開日時 2009/08/12 04:00
アステラス製薬は8月11日、臓器移植患者が使用する経口免疫抑制剤プログラフ(一般名:タクロリムス水和物)のジェネリック(GE)の有効性と安全性を確保するための規制を米FDAに求めた請願が実質的に却下されたと発表した。同社は、却下の妥当性を問う訴訟をワシントン連邦地裁に提起する考え。また、GEの承認仮差し止めも求める方針。同剤の最初のGEは、ノバルティスグループでGEを扱う独サンドが11日にFDAから承認取得したと発表している。
アステラスは、同剤は治療域が狭く、血中濃度の微妙な差が有効性、安全性に多大な影響を及ぼすとして、▽健常人に加えて臓器移植患者においても生物学的同等性試験を実施すること▽薬局で代替の経口免疫抑制剤が使用される際には、処方医が連絡を受けるように添付文書を改訂すること――などが必要と判断。生物学的同等性試験は健常人のみでよいとするFDAに対し、アステラスは規制見直しを公式に求めることができる「市民請願」を用いて、対応を求めていた。
臓器移植患者での生物学的同等性試験の必要性について同社は、患者は平均10種の薬剤を服用しており、吸収率や臨床効果が他剤との相互作用など様々な治療状況により左右されるためとしている。
プログラフは08年4月に米国で物質特許が切れているものの、08年度の同剤の北米売上高は888億円、09年度は822億円を見込む主要製品の1つ。