ノバルティス 国内初の治療抵抗性の統合失調症治療薬クロザリル発売
公開日時 2009/07/29 04:01
ノバルティス ファーマは7月29日、国内初の治療抵抗性統合失調症治療薬クロザリル錠(一般名:クロザピン)を発売する。現段階で、治療困難な統合失調症に対する最終的な治療薬となる。ただ、国内臨床試験で副作用が、無顆粒球症や耐糖能異常などの重大なものを含め、ほぼすべての患者に発現した(77例中76例)。このため同剤の使用医療機関を登録制にするほか、患者の安全管理を行う担当部署や第三者委員会を設置し、同剤のリスク管理を徹底しながら患者が安全に安心して治療にあたれるようにする。
クロザリルは2種類以上の抗精神病薬を十分な量、十分な期間投与されたにも関わらず、十分な効果が得られない患者が対象。副作用の面から細心の注意を払わなければならないことから、同社は社内に「クロザリル患者モニタリングサービス」(以下、CPMS)を設置。副作用の発現や予兆の早期発見、発見時の早期対応を行う。同剤を使用する医療機関や医師、患者はCPMSに登録することが義務付けられる。また、医師らで構成する第三者委員会「クロザリル適正使用委員会」も設置され、適正使用の推進とCPMSの適切な運用を支援する。
クロザリルの対象患者数はピーク時で約1万4000人。患者数は少なくアンメットメディカルニーズ(UMN)に対応した薬剤だが、製薬企業にとっては適正使用推進のためのコストもかかる。UMNに応えていくことがこれまで以上に製薬企業に求められるなかで、高い収益を期待できる薬剤と、社会貢献の意味合いの強い薬剤をバランスよく開発・上市していくことがより求められそうだ。