解説/ASCO:米国にみるがん医療の光と影
公開日時 2009/06/02 04:00
今年のASCOのテーマである“PersonalizedCancerCare”は、がんに起因する社会的負担を軽減するための戦略の一つでもあり、それを支えているのは基礎および臨床研究の進歩である。04~08年の5年間にかけて抑制傾向にあった米国政府のがん研究予算は、オバマ政権によって今年、ようやく増額される見込みとなり、懸念されたがん研究の停滞解消に明るい兆しが見えてきた。社会的負担軽減のためのもうひとつの戦略が、医療格差の解消である。アフリカ系アメリカ人の5人に1人、ラテン系アメリカ人の3人に1人は医療保険未加入者である。保険未加入者はスクリーニングを受ける機会が少なく、多くは進行した状態で診断され、死亡率も高い。このことはまた、社会全体の医療費増加という負担として跳ね返っている。「社会経済的...