RCTの結果でPSA検診の議論再燃-5
公開日時 2009/07/06 04:00
メリット、デメリットを情報提供して国民に自己判断を
日本泌尿器科学会は、50歳以上の男性に対してPSA検診を推奨しており、現在のところ変更しない方針だ。「公費を使って行う市町村検診では、費用対効果も重要」(伊藤氏)との考えからだ。ただし、「人間ドックなど個人が受ける検診では40歳以上でもメリットがある」(伊藤氏)ことを追補版に盛り込むことを検討するという。
また、「RCTで死亡率減少効果が確認された」ことはPSA検診のメリットとして明記する方針だが、「すべてのがん検診にはメリットとデメリットがある」と伊藤氏。PSA検診にも、「死亡率減少効果の裏に、過剰診療や過剰治療、生検時の合併症などの不利益がある。国民に、メリットとデメリットがあることを分かりやすく伝え、国民が判断できるようにすることががん検診では重要」と話す。
インフォームド・コンセントの重要性が叫ばれて久しいが、こと検診においては、検診の意義や目的についての説明が十分行われていないのが現状ではないだろうか。PSA検診の議論を皮切りに、他の領域におけるがん検診においても、国民の目線に立った積極的な情報提供が行われることに期待したい。