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RCTの結果でPSA検診の議論再燃-1

公開日時 2009/06/08 04:00

欧米で2つのエビデンス 
日泌学会も近くGL追補版公表

 PSA(前立腺特異抗原)検診の是非をめぐる議論が再燃している。PSA検診の実施の有無に伴う死亡率減少効果をめぐり欧州と米国で行われた2つの無作為化比較対照試験(RCT)の結果が相次いで報告されたためだ。これらのエビデンスの発表を踏まえ日本泌尿器科学会は、6月中にも、「前立腺がん検診ガイドライン(2009年度追補版)」として新たな見解を取りまとめる方針だ。日本国内では厚労省がん研究助成金研究班がPSAの住民検診を推奨しない方針を示していただけに、新たに報告された海外のエビデンスがこの議論にどう影響するか注目されている。(望月英梨)

 

 

 

 日本泌尿器科学会が、初版となる「前立腺がん検診ガイドライン2008年版」を策定したのは、昨年4月のこと。学会がGL策定から1年足らずで、“追補版”の作成に踏み切ったのは、欧州で進行中の「European Randomized Study of Screening for Prostate Cancer(ERSPC)」と、米国で進行中の「Prostate,Lung,Colorectal,and Ovarian(PLCO)Cancer Screening Trial」の2つのRCTの結果が、3月26日付けのNew England Journal of Medicine電子版に掲載されたためだ。

 

PSA検診で2つのエビデンスがNEJMに掲載

 ERSPC研究は、欧州7カ国の55~69歳の男性16万2243人が対象。①PSA検査を平均4年に1回受けるスクリーニング群7万2890人②コントロール群8万9353人-の2群に分け、2006年12月末まで追跡調査した。平均観察期間は、8.8年。

 その結果、前立腺がんの累積発生率は、スクリーニング群で8.2%(5990人)だったのに対し、コントロール群で4.8%(4307人)。前立腺がん死亡率比は、0.80(95%CI:0.65~0.98)で、PSAによるスクリーニング群は、コントロール群と比べ、前立腺がんによる死亡率を有意に20%低下させている。なお、スクリーニング群でPSA検査を1度以上受けた人は82.2%だった。

 一方、PLCO研究は、米国内10施設で、7万6693人を対象に実施された。①毎年PSAを受診するスクリーニング群3万8343人②通常の健康管理を受けるコントロール群3万8350人-の2群にわけ、7~10年間、追跡調査した。

 7年後の前立腺がんの発生率は、スクリーニング群で116/1万人・年(2820人)だったのに対し、コントロール群では95/1万人・年(2322人)で、統計学的な有意差はみられなかった。死亡率は、スクリーニング群で2.0/1万人・年(50人)、コントロール群では1.7/1万人・年(44人)だった。なお、研究開始から6年間のPSA検査受診率は、スクリーニング群で85%。コントロール群では、1年目では40%だったものの、6年目には52%に上昇している。

 

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