NICEガイダンス最終案 嚢胞性線維症にBronchitolを推奨
公開日時 2012/11/02 04:00
英国立医療技術臨床評価機構(NICE)は10月26日、成人における嚢胞性線維症(CF)の治療薬として、オーストラリアのPharmaxis社(本社:シドニー)の「Bronchitol」(マンニトール乾燥粉末吸入用)をNHS(英国民保健サービス)での使用を推奨するガイダンス最終案を公表した。
同ガイダンス案では、デオキシリボヌクレアーゼを使用できないために吸入粘液溶解剤を使用しない、および高張食塩水のような浸透圧性薬剤の使用が適切でないと思われる成人のCF患者で、肺機能が急速に低下している患者のオプションとして推奨するとした。肺機能の急速な低下は、1秒間努力呼気量が毎年2%以上低下する場合と定義している。
マンニトール乾燥粉末吸入用はCF患者の標準療法の上乗せ療法として承認されている。臨床試験での用法用量は、吸入用粉末40mgカプセル10個を1日2回に分けて服用(1日400mgを2回)した。
同剤の価格は、280カプセル14日分および吸入器2個付きで231.66ポンド(付加価値税除く)。吸入器を含み、40mgカプセルあたり0.83ポンド、1日薬価は16.55ポンド。
NICEの評価委員会は、CFにより肺機能が急速に低下し、デオキシリボヌクレアーゼを使用できないか、もしくは高張食塩水を使用できない患者に対してマンニトールを使用することによる増分費用対効果(ICER)は、1QALY(質調整生存年)当たり30000ポンド以下に収まり、NHSのリソースを使用するのに差支えないと結論付けた。
NICEのCarole Longsonヘルステクノロジー評価センター長は、評価委員会はCF患者、専門医、介護者からCFは患者のQOLに多大な影響を与えるという意見を聴取したとして、「マンニトールは吸入乾燥粉末なので服用が噴霧用より簡便で機器も経費がかからない」と同剤のメリットを上げたうえで、「従来のガイダンス案では既存治療に比べて、有効性についてのエビデンスが不明確だったことや肺機能に対する同剤の長期的効果が不明確だったことから、推奨されていなかった」と今回の推奨に至った経緯を説明した。
NICEは、11月9日までパブリックコメントの募集を行い、その後11月中に最終ガイダンスを発行する予定。
Pharmaxis社のAlan Robertson CEOは、「Pharmaxisは、NICEがBronchitolをアンメットメディアカルニーズが高いCF患者への臨床的かつ費用対効果が優れている治療オプションとして認めたことを歓迎する」とコメントした。
Bronchialは、米国、欧州、オーストラリアでは希少疾病薬の指定を受けている。オーストラリアおよびEUでは承認済みで、米国ではCFの適応で申請済み。
Pharmaxis社は、1998年創立のオーストラリア最大級の製薬企業で呼吸器系疾患を得意分野とする。米国、英国、中国に事務所を持っている。