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高い薬価で抗生物質R&Dを救えるか:ICCAC会議

公開日時 2012/10/16 04:00

 抗生物質開発の将来のビジネスモデルは、小集団患者に限定した高薬価の製品に特徴づけられ、それを促進するのは米国と欧州の規制改革になると指摘するのは、ICCAC(抗菌薬および化学療法に関する学術会議)会合での専門家の発言だ。


Anti-Infective ConsultingのDavid Shlaes氏は、何万ドルというコストがかかりながらも数週間あるいは数か月延命させるだけの抗がん剤のような薬剤と比べて、抗生物質のように現実に疾患を治癒するクラスの薬剤は非常に少ないが、価格は非常に安いと指摘、抗生物質が抱える問題点を指摘した。同氏は特にグラム陰性菌に対する薬剤が不足していることを問題視したが、「社会は、新規抗生物質については価値に基づいた価格を受けいれるようになると信じている」と述べ、将来を楽観視した。


Shlaes氏は、「そこに至るために、我々は我々が提供する抗生物質がその価格に相当することを示さなければならない。従って、価値に基づく価格付けが出来るような規制改革がポイントだ」と規制改革での抗生物質の価格付けの改善を求めた。


ウプサラ大学のOtto Cars教授は、社会が真のイノベーションにもっと代価を支払う必要があるという意見に賛成だとしたうえで、欧州ではこの問題はすでに論議されているので、実現の可能性はあると話した。同教授は、高薬価は耐性を生む乱用を防ぐ望ましい結果になるはずだと指摘する。


ファイザーのZyvox(リネゾリド)やCubist PharmaceuticalsのCubicin(ダプトマイシン)は、製薬企業、緊急の医療ニーズに応えるスペシャルティ製品では高薬価を維持できることを示している好例だ。しかし、このようなサクセス・ストーリーは希である。


製薬企業は採算が取れない抗生物質には投資をしないという悪循環を生んでいる。現在、製薬業界は、そのような悪循環は、米国の規制状況によってもたらされていると見ている。


米食品医薬品局(FDA)は、各種感染症に対して一連のガイダンスを発行している。Shlaes氏は、それらガイダンスに基づいていては、「臨床試験は基本的に実行不可能だ」と批判する。例えば、FDAは非劣性の差を強く求め、困難なレベルにまで試験に必要な症例規模を求めるなど試験が困難になっているとの考えを示して、「これらすべてを変革する必要がある」と指摘する。


一方、同氏は、欧州は抗生物質開発には好ましい地域だという。その理由として、2011年後半に発行された抗菌剤の臨床試験についての欧州のガイダンスおよび今年6月に発行されたガイダンス追補では、試験規模やエンドポイントについて、ほぼ全面的に実施可能な試験デザインとなっている。


FDAもかたくな姿勢を取っているわけではない。2009年11月に、FDAとEMA (欧州医薬品庁)は、抗生物質の耐性について、「抗菌剤耐性大西洋横断特別委員会」(Transatlantic Task Force on Antimicrobial Resistance)を設置、この委員会で、両者による協力を強化、新規抗菌剤のR&Dパイプライン改善にための戦略を立てることを決めた。


同委員会が2011年に発表した報告書は、新規抗菌剤の薬事承認を裏付けるために臨床試験の要件を調整する重要性を指摘した。そのうえで、FDAとEMAは、両機関への申請要件を満足すべき同一の臨床試験プログラムを使用することを促進するような方法を検討すべきことを勧告している。


The Pink Sheet  9月17日号
 

 

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