フランス医薬品業界 国の財政難に支払い
公開日時 2011/12/07 04:00
フランス政府は財政難を乗り切るために、健康保険財政をカット、保険償還の医薬品価格を下げさせる考えだが、医薬品業界はこれに反発している。
フランス政府はこのほど、政府予算削減を目的にヘルスケア関連業界に2011年の5億ユーロと比べ大幅な増額となる6億7000万ユーロの削減を求めていたが、さらに2012年予算では一層の削減を求める社会保険資金調達法案(PLFSS)を提案し、製薬業界に対しては、具体的には、保険償還リストの200剤について償還価格の引き下げを求めると見られている。
仏弁護士事務所のCovington & BurlingのFrancois-Regis Babinet氏は、「価格引き下げは同リストだけに留まらないだろう」と見ている。ベネフィットがないとして2010年に掲載された同リストの製品価格は35%削減の上、患者負担の不足分として15%が上乗せされた。
フランス製薬協(LEEM)は、「価格引き下げは、政府が4000万ユーロ節減するために償還を拒否していると解釈できる」と反発、「長いこと治療価値が認められてきた薬剤を標的とすることは無益であり不当だ」と非難、「しかも、結果的に間違いなく失業者を増やす」と指摘している。
さらに、Leemは、政府がセルヴィエの糖尿病薬Mediator(benfluorex)による副作用で死者が発生した問題に便乗し、業界全体の制裁を行っているような形になっていると非難している。また、Leemは、近年の業界に対する増税についても、研究開発に投資を行う国内および国際的医薬品企業双方にとって理解しがたいと反発を強めている。
(The Pink Sheet Daily 11月18日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから