【秋アレリポート】ブデソニド/ホルモテロール配合剤への切り替え コントロールが不十分な成人喘息症例に有効
公開日時 2011/11/24 06:01
浜松医科大学呼吸器内科の赤松泰介氏は11月12日、第61回日本アレルギー学会秋季学術集会で、自験例からフルチカゾン/サルメテロール配合剤(SFC)の中用量投与中でAsthma Control Questionnaire(ACQ)5が0.75を超えるコントロール不十分な成人気管支喘息症例では、ブデソニド/ホルモテロール配合剤(FBC)への切り替えにより、4割超の症例でコントロール良好に持ち込めると報告した。
喘息治療の目標は臨床症状の改善や肺機能の正常化、末梢気道炎症の抑制にあるが、SFC治療では治療目標達成できない症例もある。検討では同院とその関連施設で8週間以上SFC中用量吸入を受けている198例のうちACQ5が0.75を超えるコントロール不十分症例90例を対象とした。平均年齢59歳、喘息罹病期間は11.9年、SFCによる治療期間は1.2年であった。なお、コントロール良好群と比べ、不十分群では、ACQ5の平均スコアと各5項目スコアが有意に高く(p<0.001)、アトピー素因率(48.9%)、最小ピークフロー値、1秒量は有意に低値(p<0.05)だった。この90例で、SFC500/100μg/日からFBC640/18μg/日に変更し、12週間吸入投与した。
切り替え直前の0.75≦ACQ値<1.5の症例が51%、ACQ値≧1.5の症例が49%だったが、12週間後では43%が0.75以下を示し、0.75≦ACQ値<1.5の症例が30%、ACQ値≧1.5の症例が27%と、顕著な改善を示した。
ACQ5平均スコアは切り替え前1.63から12週間後0.98と有意に低下(p<0.0001)し、各5項目の平均スコアでも12週間後に有意に低下していた。
また、ピークフロー値は12週間後に最小値309から332(p<0.005)、最大値360から372(p<0.05)と、両方とも有意に上昇し、1秒量も1.90から1.97と有意な改善を示した(p<0.05)。なお、呼気NO濃度は切り替え前と12週間後では有意な変化を認めなかった。
これらのことから赤松氏は、「SFCでコントロール不十分な症例でのFBCへの切り替えは、喘息症状や呼吸機能の改善に有用である」との見解を示す一方で、呼気NO濃度に有意差を認めなかったことから、末梢気道/肺胞NO濃度測定などによる更なる気道炎症評価が必要であるとまとめた。
【訂正】11月24日14時04分訂正済み