【AHAリポート】CRUSADE ACUITY基準の大出血 非ST上昇型急性心筋梗塞患者院内死亡の独立した予測因子に
公開日時 2010/11/18 11:00
CRUSADE、ACUITY基準での大出血は、非ST上昇型急性心筋梗塞患者の院内死亡の独立した予想因子だが、TIMI大出血は院内死亡の独立した予測因子ではない――。「CRUSADE」に登録された約800例の非ST上昇型急性心筋梗塞患者を対象とした解析で明らかになった。11月16日、米国イリノイ州シカゴで開催されている米国心臓協会(AHA)2010年学術集会のAbstract Posterセッションで、スペインSantiago de Compostela大学病院のAGRA BERMEJO氏が発表した。
非ST上昇型心筋梗塞患者では、大出血の頻度と死亡率増加との関連が指摘されている。大出血は、これまでの臨床試験で用いられたいくつかの出血基準によって定義されるが、異なる基準の精度比較はほとんど行われてこなかった。BERMEJO氏らは、2004年~09年に非ST上昇型心筋梗塞と診断された794例の入院患者について、3つの出血基準(CRUSADE、ACUITY、TIMI)での大出血の頻度と院内死亡率との関係を評価した。
各出血基準での大出血の定義は、以下の通り。
▽CRUSADE:頭蓋内出血(ICH)、後腹膜出血、ヘマトクリット値>12%低下(ベースラインから最も低値)、ベースラインのヘマトクリット値≧28%での赤血球輸血、あるいは28%未満の明らかな出血
▽ACUITY:頭蓋内出血、眼内または後腹膜、インターベンションのアクセス部位の出血、5cm以上の血腫、ヘモグロビン低下(出血源を伴う3g/dL以上、出血源がある場合は4g/dL)、輸血、出血のための手術
▽TIMI:ICH, ヘモグロビン5μg/dLを超えるヘマトクリット値低下
◎BERMEJO氏ら「ACUITY-MBの方が大出血リスクのある患者をより多く同定できる」
調査した794例のうち、696例(88%)で心カテーテル(91% が橈骨動脈から)、519例(71%)で血行再建が行われた。院内死亡は41例(5.2%)だった。
大出血の発生率は、CRUSADE-MBでは15.4%、ACUITY-MBでは11.8%、TIMI-MBでは5.2%。
共変量を調整した多変量モデルで解析したところ、CRUSADE-MB(オッズ比:3.2, 95%CI: 1.2-5.4、P値<0.01)とACUITY-MB(オッズ比:2.6、95%CI: 1.6~4.1、P値<0.01)は、ともに院内死亡の独立した予測因子だった。一方、TIMI-MBは院内死亡の独立した予測因子ではなかった( オッズ比:1.6、95%CI: 0.5~5.2、P値=0.3)
BERMEJO氏らは、「いずれも強力な予測因子だが、より一般的に用いられるACUITY-MBの方が大出血リスクのある患者をより多く同定できる」と結論付けた。