武田薬品・ウェバー社長CEO 3年以内上市の6つの後期開発品で成長描く ピーク時100億~200億ドル
公開日時 2024/12/16 04:53
武田薬品のクリストフ・ウェバー代表取締役社長CEOは12月13日、投資家向けイベント「Takeda R&D Day 2024」で挨拶し、「ピーク時売上高が100億ドルから200億米ドルの6つの後期開発プログラムによって持続的な成長が期待される」と強調した。なかでも、①経口オレキシン2受容体作動薬Oveporexton(ナルコレプシータイプ1)、②次世代経口アロステリックチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害剤Zasocitinib(乾癬)、③注射用ヘプシジンミメティクスペプチドRusfertide(真性多血症)-の3剤は25年中に臨床第3相試験の結果が得られると明かし、25年~26年に承認申請すると見通した。ウェバー社長CEOは、「これら製品は今後3年以内に上市される」と述べ、「このような売上収益に成長ポテンシャルのある製品はこれまでなかった。非常にエキサイティングで長期成長が期待できる」と強調した。
◎約51億米ドル(7700億円)の年間研究開発投資「30年までの売上収益の成長ポテンシャルを得た」
ウェバー社長CEOは、グローバルのバイオ医薬品企業として競争力を持つための能力として、 約51億米ドル(7700億円)の年間研究開発投資と、複数のグローバル拠点における同時開発体制、さらに製品を上市させていく能力が求められていると強調。その上で同社の後期開発パイプラインについて、「2030年までに我々は大きな売上収益の成長ポテンシャルを得た。これによって長期の成長を支えられると考えている」と断言した。ウェバー社長CEOがこう発言する背景には、2031年にも主力品のエンタイビオの特許が切れてバイオ後続品が上市される懸念がある。また大型品のADHD治療薬ビバンセの特許切れが早くも収益に影響している。
◎ビバンセのGE参入インパクト、エンタイビオのバイオ後続品影響を凌ぐ「長期成長」を描く
ウェバー社長CEOは、「ビバンセのジェネリック・インパクトが出てきている」と指摘しながらも、「後期開発パイプラインなど成長新製品が売上収益を牽引する。2031年にはエンタイビオのバイオ後続品が上市されるが、それにも増して6つの後期開発パイプラインのグローバル上市によって長期の成長を持続できると確信している」と自信をのぞかせた。
◎Oveporexton、Zasocitinib、Rusfertideの3剤は25年中に第3臨床相試験の結果公表へ
この日の「Takeda R&D Day 2024」(写真)で示された後期開発パイプラインとして、①Oveporexton(TAK-861)、②Zasocitinib(TAK-279)、③Rusfertide(TAK-121)、④Mezagitamab(TAK-079)、⑤Fazirsiran(TAK-999)、⑥Elritercept(TAK-226)-6剤。適応症別の申請目標時期は、Oveporexton(ナルコレプシータイプ1:ピーク時売上高20~30億米ドル)、Zasocitinib(乾癬および乾癬性関節炎:同30~60億米ドル)、Rusfertide(真正多血症:同10~20億米ドル)が25年度~26年度を予定する。
一方、Zasocitinib(乾癬および乾癬性関節炎:30~60億米ドル・再掲)、抗CD38抗体Mezagitamab(免疫性血小板減少症およびIgA腎症:同10~30億米ドル)、RNA干渉(RNAi)治療候補薬Fazirsiran(アンチトリプシン欠乏症肝疾患:同10~30億米ドル)、アクチビン阻害剤Elritercep(骨髄異形成症候群(MDS):20~30億米ドル)は27年度~29年度を予定する。
◎アンディー・プランプ氏「この戦略は今後10年間揺るがない」
アンディー・プランプ リサーチ&デベロップメントプレジデントは、「この戦略(後期開発パイプライン)に関しては今後10年間揺るがない内容になっている」と指摘した。同氏はまた、2015年度と24年度のR&D体制の変化に言及。15年度当時は低分子中心で10の疾患領域だったものが、24年度は3つの疾患領域(オンコロジー、ニューロサイエンス、消化器系・炎症性疾患)と4つの主要なモダリティ(低分子、生物学的製剤、ADC、同種細胞療法)に拡大したとし、研究開発費も3460億円から7700億円にまで増加していると説明した。