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BMS本社幹部・クリス・バーナー氏 日本人患者250万人の人生をよりよい形に導く 大学研究機関と連携も

公開日時 2022/10/18 04:52
ブリストル マイヤーズスクイブの本社幹部であるクリス・バーナー・エグゼクティブバイスプレジデント兼コマーシャライゼーション最高責任者は本誌とのインタビューに応じ、日本のビジネスについて「2023年までに“250万人の患者の人生をよりよい形に導く”という目標を達成する」と強調した。事業目標「Japan2023」(J23)に示したもの。グローバル・バイオファーマとしてリーダーであり続けるために重視すべきことは、「画期的な新薬開発にしっかり注力することだ」と述べ、日本国内の大学研究機関や業界他社とのパートナーシップを進め、「日本で発掘したイノベーションを世界中の患者に役立てる活動に注力する」と意気込んだ。

「我々はブレークスルーを確実に起こす革新的新薬を創出するため、製薬業界内でも最大級の研究開発の組織を有している」-。クリス・バーナー氏はこう強調する。その上で同氏は日本市場に対し熱い視線を送った。BMSにとって日本との関係は60年以上に及ぶ。クリス・バーナー氏は、「我々にとって医薬品のイノベーションはエコシステムであると考えている。日本で発生したイノベーションを探し求めるという活動を重要視している」と話し、2021年2月の東京医科歯科大学との提携、22年8月の名古屋大学と戦略的提携契約の締結など複数の大学研究機関とのパートナーシップを進めていることを明らかにした。

◎新しい製品を着実に日本の患者に届けられるよう投資を集中

クリス・バーナー氏はまた、乾癬の治療薬のTYK2 阻害剤「ソーティクツ」を一例にあげ、「この製品は米国FDAの承認からわずか数日後に画期的なスピードで日本でも承認を得ることができた。このように新しい製品を着実に日本の患者に届けられるよう投資を集中させている」と強調した。さらに、閉塞性心肥大心筋症の治療薬であるMavacamtenに触れ、「この薬剤は小規模な新興バイオファーマの化合物を買収したもの」と明かし、「なによりも重要なのはベストなサイエンスを見出すということ。そのためには社内の研究開発の充実に加えて、外部からの買収やパートナーシップを行うこと。そしてベストなサイエンスを見出したら、それを確実に育て、効果的に顧客へ届けるということが大切だ」と熱く語った。

◎医療者のデジタル・スキルが匠になってきた 

一方で、世界的なコロナ禍を経て、製薬企業と医師など医療者とのコミュニケーションの方法にも変化が現れている。クリス・バーナー氏は、「重要なのは、単にデジタルがあれば良いという話しではなく、むしろそれをどう使うかというところにある」と指摘する。また、「コロナで変わったことは、医師がデジタルを使わざるを得なくなったことだ。デジタルのスキルが匠になってきた。それはまさにBMSにとってチャンスだと思っている」と強調した。その上で、MRによるデジタル活用については、「様々な視点からデジタルを賢く使い、そして今までの対面式の面談と組み合わせることによって、より早くより多くの患者に届くという我々のミッションがそれに近づくことができるのではないかと思う」と述べた。

◎デジタルの進歩によって我々の仕事の仕方が変わる 「会社組織の全パーツが協力する」

「デジタルの進歩によって我々の仕事の仕方が変わっていく」ともクリス・バーナー氏は指摘する。すでに同社は、在宅勤務を含めた「ハイブリッド勤務体系」を採用したところだ。同氏は、「最も重要なのは、会社組織の全てのパーツが協力して、自社の新薬を顧客により早く、より効果的に届けることだと思う」と述べ、「実現しなければいけないのは顧客のエンゲージメントを全てシームレスに行うということ。例えばMRにとっては営業所や在宅に関わらず、働く場所がどうこうということではなく(本社を含めて)協力をすることによって、より早くより効果的に業務を遂行するということを重要視している」と強調した。

◎患者アクセスの確保を常に念頭にビジネスを展開している

日本のビジネスへの期待としては、「患者へのアクセスをいかに確保するかということを常に念頭にビジネスを展開しているので、日本においても必ずグローバル・バイオファーマのリーダーでい続けられると考えている。日本では2023年までに 事業計画に掲げた“250万人の患者さんの人生をよりよい形に導く”ということを達成したい」と熱く語った。

なお、今回の来日の目的の一つがC2C4C(Continent 2 Continent 4 Cancer)というBMS主催のチャリティバイク(自転車)・ライドイベントに参加することだった。クリス・バーナー氏はイベントの目的について、がんに対する認知度のアップ、そしてリサーチのための募金を目的として、社員が8年前に米国で自主的に始めたものだと説明。自身も埼玉県・秩父でのライドイベントに参加した。クリス・バーナー氏は「かなり急勾配だったので大変だった」と述べながら、「チーム一丸となって素晴らしい体験をすることができた」と笑顔で振り返った。
 
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