菅首相 GoTo運用見直し決断 医療・介護施設で陽性者確認の場合「国の費用負担で全員の検査実施」へ
公開日時 2020/11/22 04:50
菅義偉首相は11月21日の「新型コロナウイルス感染症対策本部」で、重症者の発生を可能な限り食い止めるため、「医療施設や介護施設等で陽性者が確認された場合は、入所者、医療従事者全員に、直ちに国の費用負担で検査を実施する」との方針を明らかにした。一方で前日20日夜の新型コロナウイルス感染症対策分科会で運用見直しが提言されたGoToトラベル事業について、「感染拡大地域を目的とする旅行の新規予約を一時停止するなどの措置を講ずる」と表明した。
◎田村厚労相「高齢者施設や医療機関等で積極的に検査を実施する」
この日の対策本部は、冒頭で田村憲久厚労相が最近の感染状況を報告。「高齢者施設や医療機関等で積極的に検査を実施する」との方針を示した。高齢者施設で多数のクラスターが発生していることに危機感を示したもの。重症患者、死亡者を可能な限り食い止める考えを表明し、特に重症化リスクのある高齢者の命を守ため、積極的に、重点的に検査をしていく考えを強調した。
◎GoToトラベル・イートとも運用を見直し
一方、日本医師会の中川俊男会長や東京都医師会の尾﨑治夫会長が、「人の移動が感染者数の増加に影響している可能性がある」として一時中断を求めたGoToトラベル事業について、政府として運用を見直す決断を下した。具体的には、感染拡大地域への旅行を目的とする旅行予約の一時停止などの措置を導入する。また、ツアーでの飲食をGoToイート事業の要件に合わせることや、バス内での飲食を禁止するなど、これまで以上の感染防止策を徹底することを確認した。同時にGoToイートの運用も見直し、食事券の一時停止や食事券の利用を控えるなど、各地域の感染状況を踏まえた検討を行うよう農水省から都道府県に要請を行うことにした。
◎菅首相「対策の柱は感染拡大の防止に向けた強化」 知事と連携し「より強い措置を」
菅首相は対策本部で発言し、前日の新型コロナウイルス感染症対策分科会から「医療への負荷を過大にしないためにも短期間に集中して感染リスクの高い状況に焦点を絞った対策を行うべきとの提言を頂いた」と指摘。「この提言を踏まえ、これまでの知見に基づく効果的な対策を迅速に実行する」と強調した。また、「今回の対策の柱は感染拡大の防止に向けた強化だ。感染拡大が一定のレベルに達した地域ではその状況を考慮し、都道府県知事と連携し、より強い措置を講じたい」と述べた。
一方、国民に対し、「感染拡大が続く中での社会経済活動に対し、さらに一段の強い対策を講じる事態を回避するためにも国民の協力が不可欠だ。改めて会食事を含めたマスクの着用、手洗い、三密の回避、基本的な感染対策の徹底をよろしくお願いしたい」と述べ、理解を求めた。