再生医療の早期実用化へ アジア6団体が規制調和に合意 APACRM初会合
公開日時 2018/04/13 03:50
再生医療イノベーションフォーラム(戸田雄三会長、FIRM)は4月12日、アジア再生医療団体連携会議(APACRM)の初会合を都内で開催したことを踏まえて記者会見を開き、アジアの参加6団体などで薬事申請など規制に関するハーモナイゼーションを推進する方向で合意したと発表した。FIRMの戸田雄三会長(富士フィルム副社長)は同日の会見で、「サイエンスの成果をなるべく早く合理的なコストで患者に届けたい。サイエンスの成果をいち早く届けるのが産業界の役割だ。日本のみならず、アジア諸国の上に展開し、パートナーシップを組んでいきたい」と意気込んだ。
APCRMは、FIRMの呼びかけで、中国、韓国、台湾、インド、シンガポール、日本の6再生医療関連団体と、韓国、台湾、インド、日本の規制当局が参加。アジア各国で承認申請や前臨床試験、臨床試験を共有化できる環境整備を進め、承認申請をスムーズな実施や臨床開発のコスト削減を目指すことを目標とすることが合意された。
◎戸田会長「規制を制する者は産業を制する」
「規制制度を何とかハーモナイズさせていこうという出発点に立ち、ゴールに対する共通認識が得られたことが非常に大きかった」―。会見で戸田会長はこう手ごたえを語った。再生医療等製品をめぐっては、開発競争、そして承認審査も欧米としのぎを削っているところ。iPS細胞の研究などで世界をリードしてきた日本だが、薬事規制でもいち早く、再生医療等製品について条件・期限付き早期承認制度を導入するなどの取り組みも進められてきた。戸田会長は、日本の制度への「アジア諸国からの関心も高い」との認識を示した。その上で、「規制を制する者は産業を制する。産業の底力はあるが、規制は欧米が医薬品、医療機器で規制がリードしてきている」と危機感を見せ、日本がアジアでリーダーシップを発揮することの必要性を強調した。
再生医療等製品は高額であるケースも多い。プレシジョン・メディシンなど個別化医療が推進される中で、「いまの医薬品の値付けをそのまま再生医療に当てはめるのは無理だ。新しい仕組みを入れようという想いはある」と話した。産業界として、自家細胞から他家細胞へと切り替えを進めるほか、リアルワールドデータの活用などを通じたコスト抑制策が必要との考えも示した。
FIRMは2011年6月に設立。再生医療・製薬、化学・材料、物流・サービス、機械・装置など関連238社(18年4月現在)が加盟している。