製薬各社 リゾチーム塩酸塩製剤を販売中止、自主回収 厚労省再評価部会で「有用性確認できない」
公開日時 2016/03/18 03:50
気管支炎などの喀痰喀出困難に用いるリゾチーム塩酸塩製剤を扱う製薬各社は3月17日、同日から同製剤の販売を中止し、自主回収すると発表した。有効性に関する再評価が求められ、各社共同で臨床試験を実施・再評価申請していたが、同日開催の厚労省の薬食審・医薬品再評価部会で「現在の医療環境下での医療上の有用性は低下し、現時点での医療上の有用性は確認できない」との見解が出たため、各社が販売中止・自主回収を決めた。
自主回収するリゾチーム塩酸塩製剤の製品名は▽アクディーム(錠剤、カプセル、細粒剤、シロップ剤 製造販売:あすか製薬 販売:武田薬品)▽ノイチーム(錠剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤 製造販売:サンノーバ 販売:エーザイ)▽レフトーゼ(錠剤、顆粒剤、シロップ剤 製造販売:日本新薬、シロップ剤のみシオエ製薬 販売:日本新薬)――。
リゾチーム塩酸塩製剤は1960年代に相次ぎ発売されたが、医学・薬学の進歩に伴い、現在の医療環境に即した有効性の検証が求められ、2012年に厚労省から再評価指定を受けた。そして、同製剤を扱うあすか製薬、エーザイと子会社サンノーバ、日本新薬と子会社シオエ製薬の5社は共同して有効性を検証するための製造販売後臨床試験(プラセボ対象二重盲検群間比較試験)を実施。このうち「気管支炎」「気管支喘息」「気管支拡張症」の適応を対象とした試験では、COPD患者における標準治療に対するリゾチーム塩酸塩の上乗せ効果を検討し、その試験結果に基づき15年5月に再評価申請していた。今回、その申請に対する見解が出たことになる。
■プロナーゼ製剤も販売中止、自主回収
同日開催の薬食審・医薬品再評価部会では、プロナーゼ製剤についても審議し、医学・薬学の進歩により、「現時点での医療上の有用性は確認できない」との見解が出た。このため、同製剤を扱う科研製薬は同日、同日から販売を中止し、自主回収を行うと発表した。自主回収する製品はエンピナースPカプセル9000、エンピナースP錠18000、イソパールP配合カプセル――の3品目。リゾチーム塩酸塩製剤と同様、12年に再評価指定を受け、科研が製造販売後臨床試験を実施して15年に再評価申請していた。