厚労省 抗生物質製剤、過敏症既往患者を「禁忌」に 「原則禁忌」廃止に伴う添付文書改訂
公開日時 2019/03/29 03:50
厚生労働省医薬・生活衛生局は3月28日、4月施行の添付文書新記載要領での「原則禁忌」廃止に伴い、「禁忌」に引き上げる必要があると判断したケースを、添付文書に明記するよう日本製薬団体連合会に医薬安全対策課長通知で指示した。同課によると、この対応は現時点で必要と判断した全ての医療用医薬品で行った。この中で抗生物質製剤については、「原則禁忌」としていた過敏症既往歴患者を「禁忌」に明記することにした。
同課によると、「原則禁忌」の記載事項は、基本的には「特定の背景を有する患者に関する注意」の項目に移行する予定だが、中には「禁忌」に移行が適切と考えられるケースもあった。そこで、国内外の状況や類薬の添付文書の記載内容などを踏まえ、関係学会の意見を聞きつつ、3月11日の薬食審の医薬品等安全対策部会安全対策調査会での審議を経て実施した。
禁忌の記載見直しは、抗生物質製剤ではセフェム系、ペニシリン系、グリコペプチド系、ペネム系、カルバペネム系の各製剤で行った。血液代用剤のヒドロキシエチルデンプン70000についても、同剤に対する過敏症既往歴患者を禁忌にした。
催眠鎮静剤、抗不安剤では、アモバルビタール、セコバルビタールナトリウム、ペントバルビタールカルシウムで「急性間歇性ポルフィリン症の患者」を明記する。
抗てんかん剤、精神神経用剤のバルプロ酸ナトリウムでは、審議前は全ての適応で「妊婦又は妊娠している可能性のある女性」を禁忌にすることを検討したが、検討の結果、「片頭痛発作の発症抑制」の治療に用いる時のみ「禁忌」とした。
それ以外の「各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害の治療、躁病および躁うつ病の躁状態の治療」においては「禁忌」扱いとせず、「治療上の有益性が危険性を 上回ると判断される場合にのみ投与すること」とした。やむを得ず投与する場合「可能な限り単剤投与することが望ましい」と注意喚起することにした。
非特異性免疫原製剤ペニシラミンでは、関節リウマチ治療に用いる際には、これまでの血液障害患者に加え「骨髄機能の低下している患者」も禁忌とした。