日本リリー 抗がん剤サイラムザ 転移性NSCLCの1次治療で申請へ、19年半ばから各国で
公開日時 2019/03/19 03:52
日本イーライリリーは3月18日、EGFR遺伝子変異陽性の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療で、抗がん剤サイラムザ(一般名:ラムシルマブ)と同エルロチニブとの併用療法で有用性が確認されたとして、2019年半ばから各国で承認申請を開始すると発表した。申請の根拠となる国際共同フェーズ3試験「RELAY試験」は北米、欧州、アジアで実施し、日本の施設も参加した。ただ、同社広報部は本誌取材に、申請予定国に日本が含まれるかどうかについて、「現時点では非開示」としている。
RELAY試験は、EGFRエクソン19欠失またはエクソン21置換変異が認められる転移性NSCLC患者を対象に、1次治療として、サイラムザ+エルロチニブ併用療法(以下、サイラムザ群)と、エルロチニブ+プラセボ併用療法(同プラセボ群)を比較する無作為化二重盲検プラセボ対照の国際共同フェーズ3試験。組み入れ患者数は449人。
同社はこの日、試験結果の和訳を発表。主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)は、サイラムザ群はプラセボ群と比べて統計学的に有意に延長した。安全性はサイラムザ及びエルロチニブで報告されているプロファイルと同様だった。なお、プラセボ群と比較してサイラムザ群で5%以上高く発現し、5%以上の発現割合がみられたグレード3以上の主な副作用は▽高血圧▽ざ瘡様皮膚炎▽下痢――だった。これら有用性の詳細な結果は19年の医学学会で発表予定としている。
米イーライリリーのMaura Dickler・オンコロジー後期開発バイスプレジデントは試験結果を受けて、「EGFR遺伝子変異陽性の転移性NSCLCの治療は近年、進歩している一方、いまだ予後不良であり、がんの進行を遅らせる1次治療の選択肢はいまも求められている」とコメントしている。
サイラムザは血管新生阻害薬で、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体2拮抗薬。VEGF受容体2に特異的に結合することでVEGF受容体リガンドであるVEGF-A、VEGF-C、VEGF-Dの結合に競合し、VEGF受容体2の活性化を阻害する。VEGFと血管内皮との結合を阻害することにより、血管新生および腫瘍に栄養を与える血液供給を遅らせ、その結果、腫瘍増殖を抑制する。
エルロチニブはチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)で、肺がんの標準療法として認識されている。