日立と理研 iPS細胞由来の網膜シートの自動培養に成功 安定供給可能に
公開日時 2019/03/18 03:50
日立製作所と理化学研究所はこのほど、ヒトiPS細胞由来の網膜色素上皮のシート状組織の自動培養に成功したと発表した。自動培養装置の開発により実現したもの。世界で初めてという。再生医療用の細胞や組織の製造は、細胞培養技術者の手技で行われいた。品質が技術者のスキルに依存し、限られた施設でしか培養できないという課題があった。実用化は未定だが、培養自動化は医療用細胞の安定供給を可能にする成果だとしている。
理研生命機能科学研究センターの網膜再生医療研究開発プロジェクトの髙橋政代プロジェクトリーダーらのグループは、滲出型加齢黄班変性患者の皮膚組織から作製したiPS細胞を用いて網膜色素上皮のシート状組織を作製し、患者本人に自家移植する臨床研究を進めている。2017年には移植2年後の経過が良好であるとの研究報告をしている。この中で、細胞の調製から移植までにかかる時間の短縮とコスト低減などに取り組んでいたという。
この成果を3月14日に発表した日立と理研は、「この技術により細胞培養従事者の労力を大幅に低減できるだけでなく、医療用細胞の安定的な供給による量産化を可能にし、今後の再生医療をより身近な医療へと導く一歩となる」としている。