ポーラファルマ 印サンファーマに全株式譲渡へ 薬価制度抜本改革で事業厳しく
公開日時 2018/11/28 03:52
ポーラ・オルビスホールディングスは11月26日、傘下で皮膚科領域に特化した医療用医薬品企業のポーラファルマの全株式を、インドのサンファーマグループに譲渡する契約を締結したと発表した。ポーラファルマ100%子会社で、外用薬と注射薬を製造している科薬も譲渡対象となる。クロージング条件が満たされることを前提に、株式譲渡は2019年1月末までに完了する見込み。
ポーラは、18年度薬価制度抜本改革や競争環境の激化を背景に、「ポーラファルマを取り巻く経営環境は厳しい状況」と指摘。ポーラファルマの持続的成長のためには医薬品事業をコア事業に据える企業に譲渡することが最善と判断した。ポーラは主力のビューティケア事業に経営資源を集中する。
■譲渡額は1億円 MR125人は移籍
譲渡額は1億円。ポーラ広報部は本誌取材に、ポーラファルマの社員数は292人(うち、MR125人)、科薬の社員数は167人で、「基本的に移籍することになる」と説明した。ポーラファルマの17年度の連結売上は約122億円、純損失は約8億円。主力品は抗真菌薬ルリコン、尋常性ざ瘡(ニキビ)治療薬デュアックなど。
ポーラファルマはポーラ化成工業から新薬事業を分離し、科薬の販売部門と統合することで、新たな医療用医薬品企業として07年4月に創業した。
■サンファーマ「日本市場で皮膚科領域の新薬及びジェネリックの上市を加速」
サンファーマは世界5位のスペシャリティ・ジェネリック医薬品企業で、インド最大の製薬企業。同社のKirti Ganorkar・エグゼクティブバイスプレジデントは、「本件は、世界的に皮膚科領域を強化するという当社の戦略に沿ったもの」とし、「ポーラファルマは皮膚科領域のリーディングカンパニーであり、今後、当社は日本市場で皮膚科領域の新薬及びジェネリック医薬品の上市を加速していく」とコメントした。
科薬の傘下入りによって、サンファーマは日本国内に製造拠点を持つことになる。このため、「日本の医薬品市場への供給体制を強化する」とも述べた。
日本では16年に、ノバルティスファーマから爪白癬薬ラミシールや抗アレルギー薬ザジテン、高脂血症薬ローコールなど長期収載品14ブランドの国内製造販売承認を承継し、日本市場に参入した。現在の取扱製品数は42製品(14ブランド+3成分)、うち長期収載品は37製品(14ブランド)。サンファーマ日本法人の広報部によると、MR数は「若干名」という。流通・販売は田辺三菱製薬が担っている。
【訂正】下線部に誤りがありました。訂正します。当初、「爪白癬薬」と記載しましたが、ルリコンに爪白癬の適応はありませんでした。(18年11月28日11時40分)