予防接種推進専門協議会・岡田副委員長 東京オリンピックで「ワクチンの増産含めた早急な政策検討を」
公開日時 2018/10/31 03:50
予防接種推進専門協議会の岡田賢司副委員長(福岡看護大学基礎・専門基礎分野教授)は10月30日、米国研究製薬工業協会(PhRMA)主催のメディアセミナーで講演し、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、「麻しん・風しん、侵襲性髄膜炎菌感染症の3つの疾患の対策が重要だ」と訴えた。その上で、ワクチンの製造には時間がかかるとして、「ワクチン増産を含めた接種体制を準備する上で、早急な政策検討と決定が必要だ」と強調した。同協議会は予防接種に関わりのある17学会が参加する専門協議会。
このうち侵襲性髄膜炎菌感染症については、「発症頻度は低いが、発症すれば致死率が高く、マスギャザリング(一定期間、限られた地域で同一目的で集合した多人数の集団)がハイリスクな感染症だ」と説明した。その上で、平昌オリンピックでは、ボランティアを含む8万人の関係者に対し、結核の検診や髄膜炎ワクチンを接種した例を説明し、「日本でも対策の必要性があるが、まだ議論されていない」と指摘した。
◎岩田委員長「定期接種化までの時間短縮を」
同日講演した同協議会の岩田敏委員長(国立がん研究センター中央病院・感染症部長)は、ワクチン開発をめぐる現状について、「行政的な開発支援や促進政策がなく、承認後も定期接種化の見通しが不明だという課題がある」と指摘した。こうした状況下では、「製造側も開発しづらい状況にあるのではないか」と述べ、新たなワクチン開発の促進に向けた仕組みづくりの重要性を訴えた。現行の予防接種政策については、「定期接種までの審議に時間がかかっている」として、多くのワクチンが開発される現状に対応できていないと指摘した。
そのうえで、「審議会を内閣府に設置し、財務省と総務省と一緒に議論をしていけば、一連の流れはもう少しスムーズにいくのではないか」との持論を展開した。