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武田薬品の岩﨑真人・取締役ジャパンファーマ ビジネスユニットプレジデントは10月17日、同社主催のTakeda Partnering Night 2018 in Japanで挨拶し、コア技術やデジタルヘルス領域でのパートナリングに意欲をみせた。新薬創出に向けて、1990年代後半と比べ、「費用は倍。成功確率は半分。自社からすべてを創出するのは難しいということを認識しないといけない」と述べ、オープンイノベーションの必要性を強調した。同日は、武田薬品湘南研究所を開放して設立した“湘南ヘルスイノベーションパーク(以下、湘南アイパーク)”も紹介し、オープンイノベーションを加速させる姿勢を鮮明にした。 岩﨑プレジデントは、1990年代以降の製薬産業全体を俯瞰する中で、自社創薬による大型製品が減少の一途をたどっていることを紹介。この会合の主旨でもある「パートナリングは重要だと再認識した」と述べながら、2017年には56のベンチャーなどとパートナーシップを組んだことを明らかにした。同社の重点領域に据えるオンコロジー、消化器系疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)などの領域だけでなく、「プラットフォーム、自社の技術を強くする契約も多い」と述べた。AI(人工知能)やビッグデータなどのデジタルヘルス領域についても投資が増加しているとし、「ここも無視してはいけない領域ではないか」と述べた。 そのうえで岩﨑プレジデントは、製薬企業やヘルスケア関連産業の役割について、ソリューションなどを通じて「現状よりもさらに健康を国民に提供すること。それを通じて新しい未来を作っていくことだ」との考えを表明。「製薬産業が日本の産業を引っ張る成長戦略であることをもっと意識し、皆さまとパートナリングしながら日本の将来を元気づける。そういった活動をしていきたい」と語った。 ◎「湘南アイパーク」がホットスポット構築のきっかけに 同日、挨拶した湘南アイパークの藤本利夫ジェネラルマネジャーは、「湘南アイパークが日本にエコシステム、ホットスポットを作るきっかけになっていければ」と意欲をみせた。世界では、アカデミアやベンチャーが集う、“サイエンスパーク”でイノベーションが数多く生まれている。藤本氏は、「もはや一社で技術をもっているような時代ではない。一刻も早く次世代の技術につながっていくことが必要だ」と述べ、オープンイノベーションの重要性を強調した。サイエンスパークとしては、米・ボストンやシリコンバレーなどが知られるが、「残念ながら日本にはホットスポット、エコシステムで有名なものはひとつもない」と藤本氏。すでに湘南アイパークには、製薬企業やベンチャー、アカデミア発やスピンアウトベンチャーなど多彩な顔触れ25社が顔を揃えていると説明した。特に、IBMやPHCホールディングス(旧パナソニック ヘルスケアホールディングス)、横河電機など、「従来の創薬のスコープを超えた企業」もあり、「ライフサイエンスを目指す企業が集まりつつある」と自信をみせた。 同社のジャパンファーマビジネスユニットの藤垣元明カスタマーインサイト部長は、デジタル領域への投資が数千億規模まで膨らんできていると説明。「これまで我々は、いかにより良い薬を(患者に)届けるかを中心に考えてきた。デジタルの世界になると、患者の予後をトータルでいかに良くするかが潮流になっている」と述べた。そのうえで、医薬品についても、プレシジョン・メディシンの時代が近づくなかで、「一社で何かをするというのではなく、大きなエコシステムの中に複数の会社が色々な形で貢献する。患者により適切にソリューションを届ける」ことが必要との考えを示した。
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