地域医療連携推進法人「尾三会」 共同交渉参加施設でGEは1成分1メーカーに 18成分の推奨品リスト作成
公開日時 2018/10/05 03:51
地域医療連携推進法人「尾三会」は、医薬品共同交渉における後発医薬品(GE)18成分について原則1成分につき1メーカーの製品を推奨するリストを作成し、共同交渉に参加する8法人に10月から協力要請を始めた。GEでは1成分に対する参入企業が数十に上るケースもあり、医療施設側で製品選択に手間がかかり、在庫や薬剤管理にも課題があったことから、推奨するGEに集約。参加施設のGEにかかる事務量負担を軽減し、本来の医療業務に注力できるようにしたい考え。対象成分数は順次増やすことを検討する。
推奨品リストを作成したのは、尾三会からの委託を受け交渉を担当する「藤田薬品」。同社によると、尾三会の共同交渉に参加する8法人(藤田保健衛生大学病院は参加していない)でのGEの取引高は年間1億円前後で、その中から比較的取引高が多い成分として、まず18成分を対象にした。注射剤は各病院の管理体制と関わるため経口剤を優先した。製品の選択に際しては、安定供給体制、経済性、情報活動等のメーカーや卸の対応などを基準にした。推奨品の取り扱いは強制ではなく、各施設が状況に合わせて進めるものと位置付けている。
1年前に共同交渉を始める前には、GEで1成分につき1メーカーの製品の取引が検討されたが、参加施設ごとの事情や薬剤変更による患者への影響などを考慮して見送った。今回、導入に踏み切ったのは、多数のメーカーから出ているGEを選択する負担や在庫管理や発注等の業務の軽減を求める声が一部施設からあり、導入に反対もなかったことから始めたとしている。
藤田薬品の成田勝社長は、今回の取り組みについて「安価に購入できるということよりも、これまでかかっていた院内での業務負担の軽減の効果がとても大きいと思う」と述べ、推奨したGEに順次集約されていくことに期待する。
対象成分(カッコ内は薬効分類名)は、▽セフトリアキソンナトリウム水和物(セフェム系抗生物質)▽ランソプラゾール(プロトンポンプインヒビター(PPI))▽アムロジピンベシル酸塩(高血圧症・狭心症治療剤)▽ドネペジル塩酸塩(アルツハイマー型認知症治療剤)▽メコバラミン(末梢性神経障害治療剤)▽酸化マグネシウム(制酸・緩下剤)▽アルプロスタジル(プロスタグランジンE1製剤)▽バンコマイシン塩酸塩(グリコペプチド系抗生物質)▽クロピドグレル硫酸塩(抗血小板剤)▽ロキソプロフェンナトリウム(鎮痛・抗炎症・解熱剤)▽ファモチジン(H2受容体拮抗剤)▽レバミピド(胃炎・胃潰瘍治療剤)▽カンデサルタン シレキセチル(持続性アンジオテンシンII受容体拮抗剤(ARB))▽レボフロキサシン水和物(広範囲経口抗菌製剤)▽パンテチン(パンテチン製剤)▽ピコスルファートナトリウム水和物(緩下剤)▽センノシド(緩下剤)▽テイコプラニン(グリコペプチド系抗生物質)。対象メーカー名は藤田薬品は開示しなかった。
共同交渉参加法人・施設は次のとおり。▽医療法人清水会 相生山病院(162床)/豊明老人保健施設▽医療法人なるみ会 第一なるみ病院(130床)▽医療法人コジマ会 ジャパン藤脳クリニック(19床)/介護老人保健施設▽医療法人愛整会 北斗病院(270床)/岡崎整形外科▽医療法人十全会 三嶋内科病院(146床)▽公益財団法人 豊田地域医療センター(150床)▽医療法人利靖会 前原整形外科リハビリテーションクリニック(19床)/前原外科・整形外科 小児科▽医療法人社団福祉会 高須病院(169床)。