日医・長島常任理事「原薬含むトレーサビリティ体制確立を」 バルサルタン自主回収受け
公開日時 2018/08/24 03:51
日本医師会の長島公之常任理事は8月22日の記者会見で、原薬も含めたトレーサビリティの体制の確立を目指し、今後、厚生科学審議会医薬品医療機器等制度部会で議論を深めたいとする考えを示した。7月にあすか製薬が、発がん性があるとされる物質が含まれていた疑いで、降圧薬バルサルタン錠「AA」を自主回収した問題を受けて述べたもの。長島常任理事は、「患者の安全が担保されない状況では安心して医療が行えない。医薬品医療機器等制度部会では、医薬品を製造流通する関係企業の責任についても厳しく議論していく」と強調した。
会見で長島常任理事は、「当該医薬品の回収状況が報告されているものの、どれほど調剤され患者に渡ったかは判明されていない」と指摘。「一か月たっても原因究明ができていない」と強調した。その上で行政に対しても、「企業を適宜適切に監督する義務があるはずだ」と意見した。
自主回収の対象となった製品は、あすかActavis社が製造販売していた。混入のおそれがある物質「N-ニトロソジメチルアミン」は、WHOの機関である国際がん研究機関(IARC)の発がん性の根拠の強さによる分類(発がん性分類)によると、5分類のうちのグレード2A「ヒトに対しておそらく発がん性がある」(ヒトへの発がん性については限られた証拠しかないが、実験動物の発がんについては十分な証拠がある場合)に該当していた。