大手卸4社・妥結率 3社は10%台前半 病院では10ポイント低下も 慎重な価格交渉 6月末時点
公開日時 2018/08/07 03:50
大手医薬品卸4社の6月末時点の価格妥結率(金額ベース)は、2年前の同時期と比べ低下し、アルフレッサホールディングス(HD)、スズケン、東邦ホールディングス(HD)の3社は6ポイント以上低下の10%台前半だった。最も高いメディパルホールディングス(HD)でも3.7%低下の15.1%だった。販路別の妥結率を開示しているメディパルHDと東邦HDによると、病院の妥結率は両社とも10ポイント以上下回った(東邦は大病院販路)。
4月から実施された流通改善ガイドライン(GL)では単品単価交渉、一次売差マイナスの改善が求められている。今後予定される毎年薬価改定も見据えなければならない。卸各社は、これら新たな流通環境下での価格交渉のあり方を占う試金石される9月末の価格妥結に向け、価格管理を厳格化、安易な値引きを戒め、慎重な価格交渉を進めているとみられる。
8月6日までに発表された各社2019年3月期第1四半期(4~6月)決算によると、各社妥結率は6月末時点で、メディパルHDは15.1%(3.7ポイント減)で、4社で最も高く、アルフレッサHDが11.6%(8.8ポイント減)と最も低かった。スズケンは13.5%(7.5ポイント減)、東邦HDは12.4%(6.7ポイント減)だった。
販路別の妥結率を開示したメディパルHDと東邦HDによると、両社とも開業医では2年前に比べ数ポイント低いものの約40%。病院においては、メディパルHDは9.1%で10.1ポイント低下、東邦HDは13.3%(大病院販路)で10.4ポイント低下した。東邦の中小病院販路では16.0%、6.5ポイントの低下だった。調剤薬局では両社ともに10%未満で、メディパルHDは9.8%の1.0ポイント低下、東邦HDは5.8%の5.1ポイント低下という状況だった。アルフレッサHDは、販路別は非開示だが「同様の傾向」だとしている。
妥結率の低下の背景をメディパルHDは「(得意先に対し)GLの内容とそれに基づく交渉であることを説明している」と理解を求める活動を進めていることを挙げた。アルフレッサHDは「単品単価交渉、納入価の改善を徹底して行っている。GLの趣旨を守り、丁寧に進めている」と説明した。スズケンは「価値に見合った価格交渉を進めている。価格管理もしっかり行っている」と述べた。東邦HDは「9月(の価格妥結)に向けて不退転の覚悟で臨んでいる」と話した。