EMA理事会 Brexit準備など協議
公開日時 2018/06/13 03:50
欧州医薬品庁(EMA)は6月7日、第100回理事会を開催し、Brexit(英国のEU離脱)に対する準備状況や2017年の活動状況などについて協議した。理事会では、事務局からEMAとオランダ政府による、EMAの機関としての地位および従業員の地位についての協定が締結されたことが報告された。
協定は、EMAがオランダ・アムステルダムに移転後の従業員および家族の身分を保障、保護する内容を規定したものである。同時に従業員らを早期に英国やその他地区からアムステルダムに移転させ、Brexit後の業務開始に備える目的を持つ。
理事会は、英国におけるEMAによる中央審査方式で承認した医薬品ポートフォリオのBrexit後の再配置の進行状況について報告を受けた。これはBrexitにより、英国で承認取得した製品は英国以外のEU諸国に承認取得者を移転しなければならないための措置である。製品が再配置されることに伴い、包装の表示が変更するが、表示変更は、現在準備中で、最近のリスク・ベネフィット情報を更新した各製品情報や評価の経緯などの情報も組み込まれる。
さらに理事会は、Brexit後のEMA業務の継続性の維持について協議した。この問題は、EMAスタッフが予想以上にアムステルダムに移転してこなかった場合、EMAの中核業務である医薬品の評価、維持および監督などに障害が生じないようにするための対応策を講ずる必要があるためだ。今年10月には、これらのうち重要業務を担うスタッフの移動を開始する計画である。
理事会では、「2017年理事長活動報告書」についての評価も行った。同報告書は、アカデミアに対する活動状況や欧州全体の市販後監視体制のEudraVigilanceの発足、発足1年目を迎えた希少疾病薬促進プログラムであるPRIME(PRIority Medicines)などを内容としている。同報告書は毎年、理事会に提出され、理事会はその活動を評価しているが、今回は、製品関連の業務量が増加していることやBrexitへの準備に対して十分なスタッフが確保できない場合には、現行法規制の施行や今後の法制化などに影響が及ぶと警告している。
理事会では、EU臨床試験・ポータルデータベース構築の進行状況について、完成が近いことが報告された。同データベースは、EU内の臨床試験の実施状況と過去の試験データを蓄積したものである。