大日本住友製薬は10月30日、2018年３月期（17年度）第２四半期（４月~９月）決算を発表し、医療用医薬品の日本セグメント売上高は、２型糖尿病に用いるGLP-1受容体作動薬トルリシティが予想より約20億円上回ったことなどから728億円、前年同期より3.3%の増収となった。当初減収としていた国内の通期予想も増収に修正した。

日本セグメント売上は当初706億円とほぼ横ばいを見込んでいたが、トルリシティが当初より21億円、降圧配合薬アイミクスが当初より７億円、それぞれ上回ったことなどで、長期収載品の減収を上回る結果となった。トルリシティの伸びについて多田正世社長は発表会見で、▽デバイスの使いやすさと週１回投与の利便性の高さ▽重点の糖尿病領域のプロモーション力――を挙げた。同剤の通期予想も当初より35億円増の145億円に修正した。

同剤の上方修正などで、国内通期予想は当初1392億円（前年度実績1408億円）から24億円引き上げ1416億円に見直した。12月に後発医薬品が参入予定の降圧薬アバプロについては当初予想の80億円を据え置いた。なお、大日本住友製薬の連結子会社DSファーマバイオメディカルは、アバプロのオーソライズド・ジェネリック（ＡＧ）の承認を８月に取得している。大日本住友本体も販促を行う。

海外を含めた業績は、北米で抗精神病薬ラツーダか40.8％と大幅に売上を伸ばしたことが主に影響し、大幅な増収増益となった。通期予想も二桁増収増益を見込む。

新規作用の２型糖尿病薬候補を国内導入　20年度申請予定　多田社長はさらなる導入検討

大日本住友は10月30日、仏Poxel社が2型糖尿病治療薬として開発中のImeglimin（=一般名）の日本、中国、韓国、台湾および東南アジア9か国を対象とした開発・販売提携契約を締結したと発表した。導入は、新規の抗精神病薬ルラシドン、がん幹細胞性阻害薬ナパブカシンの開発が当初計画通りに進まず、国内上市が遅れる見込みにあるため対応を急いでいたもので、製品導入も検討していたが、結果として後期開発品の導入となった。17年中に国内フェーズ３に着手し、2020年度の承認申請を目指す。見込む売上高は開示しなかった。多田社長は同日の会見で、新薬開発の遅れをカバーするには「日本ではまだ少し足りない」とし、領域を定めず、販売提携を含めて検討する考えを示した。

Imeglimin は、グルコース濃度依存的なインスリン分泌作用、ミトコンドリアの機能を改善するという新たな作用を持つ薬剤。インスリン抵抗性の改善、肝臓の糖新生の抑制により、血糖降下作用をもたらすと期待されているという。日本で299人を対象にしたフェーズ２bでは、プラセボ対照群に対し用量依存的に有意な改善を示したとしている。

契約では今後、共同で合計約1100例を対象とした３本のフェーズ3を日本で17年末までに開始する予定。費用は大日本住友が負担する。大日本住友が承認申請し、独占販売を行う。大日本住友は契約一時金として47億5000万円を支払う。ほか開発段階に応じた開発マイルストンとして合計で最大27億5000万円を支払う。販売後は、販売額に応じて割合が増加する２桁台の料率のロイヤリティと、販売額の目標達成に応じた販売マイルストンとして合計で最大265億円を支払う。

多田社長　適正人員体制は検討課題

大日本住友は、16年に実施した早期退職者募集（295人応募）に続き、17年度末に工場の早期退職を実施予定だが、適正人員の規模について多田社長は10月30日の記者会見で、「新たな中計で新しい製品や導入をどう進めるかによって、人の数を最終的にどうするかということになる。人員数は落としてきているので、これでどこまで事業ができるのかデリケートで重要な問題でもあるので、お答えは差し控えたい」と話した。

【17年度中間期連結業績（前年同期比）　17年度予想（前年同期比）】　
売上高　2404億6300万円（21.4％増）　4740億円（15.1％増）（修正前4640億円）
営業利益　472億4300万円（76.7％増）　720億円（36.5％増）（修正前650億円）
親会社帰属純利益　348億8700万円（219.4％増）　470億円（62.1％増）（修正前440億円）

【17年度中間期の国内主要製品売上高（前年同期実績）　17年度予想、億円】
アイミクス　92（83）　175
トレリーフ　81（76）　160
ロナセン　65（67）　132
メトグルコ　56（57）　113
リプレガル　58（53）　113
トルリシティ＊　71（21）　145（修正前110）
アバプロ　51（53）　80
シュアポスト　25（22）　53
アンビゾーム　22（22）　45
アムロジン　60（67）　106
プロレナール　29（35）　51
ガスモチン　26（32）　50
メロペン　18（23）　33（修正前41）
仕切価ベース、＊は薬価ベース