諮問会議・民間議員 社会保障費の伸び5000億円に抑制 薬価・診療報酬への切り込みも
公開日時 2017/07/18 03:51
政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は7月14日、2018年度予算のあり方について議論した。社会保障関係費については、民間議員から高齢化等に伴う自然増の伸びを圧縮し、5000億円程度に抑制する考えが提案された。また具体的な施策として、18年4月に予定する診療報酬・介護報酬同時改定、薬価の通常改定に切り込むなど、更なる努力を求めた。
この日の諮問会議は、18年度予算概算要求基準の決定に先立ち、予算のあり方について幅広に議論した。医療、介護などの社会保障関係費について政府は、2016年度から3年間を集中改革期間に位置付けている。諮問会議で民間議員は、過去2年間の社会保障費の自然増の実質増加額が1.0兆円程度となっているとし、18年度予算編成も、この方向を継続し、3年間で1.5兆円、単年度で5000億円程度に抑制する従来方針を維持すべきと主張した。
◎自然増分1300億円は制度改正で圧縮 薬価をターゲットとした深掘りも視野
過去2年間の社会保障関係費の自然増はいずれも5000億円程度に抑制されており、前回、薬価・診療報酬改定が行われた16年度は、1700億円をC型肝炎治療薬の薬価の特例市場拡大再算定などで圧縮、17年度は医療・介護の制度改正などで1400億円を圧縮している。なお、18年度は社会保障関係費の自然増が6300億円規模となる見込みで、伸びを5000億円に圧縮するためには1300億円規模の制度改革の断行が求められる。厚労省は、その改革メニューを年末の予算編成までに示すことになる。
自然増抑制の具体策としては、薬価の深掘りや、診療報酬・介護報酬改定への切り込みが想定される。民間議員は、「医療・介護分野のサービス内容や受診行動等の地域差」などへの重点的な施策を求めた。また、2025年度に全ての団塊世代が後期高齢者となることから、社会保障制度の持続性可能性を高めるため、「経済・財政再生計画に掲げた44の改革項目の速やかな実行」を求めた。