厚労省医薬・生活衛生局は７月４日、鎮咳、去痰に広く用いられているコデイン類含有製剤に対し、重篤な呼吸抑制の副作用が起きるおそれがあり、そのリスクを低減させるため「12歳未満には投与しない」とする使用制限を含む、添付文書の改訂指示を日本製薬団体連合会に通知した。一般用医薬品（OTC）に対しても、広く使われるていることから使用上の注意で呼吸抑制に注意するよう明記する。

同省の資料によると、コデイン類は医療用医薬品では65品目（後発医薬品、販売業者違いの製品含む）。OTCでは約600品目（配置薬含む）で、うち小児専用製剤は約100品目という。今回の指示では、解熱消炎鎮痛剤トラマドール含有製剤についても、コデイン類と同様に呼吸抑制リスクがあることから、国内では小児用法・用量の承認を持つ製品はないが、同様の指示を行った。医薬・生活衛生局安全対策課長は同日、日本医師会や日本薬剤師会、関係学会、都道府県に対し、改訂内容の周知と適正使用を依頼する通知を発出した。

これら注意は、添付文書の「重要な基本的注意」に追記する形で行う。同省は今後、12歳未満の小児用量がない製剤の承認申請や、現在処方している医師に対する周知を2018年末まで進め、19年中に医療用薬では12歳未満の小児を「禁忌」にする方針。OTCは12歳未満の小児には医師の診療を優先するとの今回の改訂を削除し、12歳未満の小児に使用しない旨を記載するとしている。

これらの措置は、米FDAが４月、コデイン類の副作用として小児に呼吸抑制が起こることが報告され、トラマドール含有製剤を含む医療用薬で12歳未満の小児等への使用を禁忌等としたことが背景。同省は日本での対応の必要性を検討していた。

コデイン類は肝代謝酵素CYP2D6により、活性代謝産物であるモルヒネ等に代謝され、薬効を発揮するが、遺伝的にCYP2D6の活性が過剰である者（UM）は、モルヒネ等の血中濃度が上昇し、呼吸抑制等が発現しやすくなる可能性がある。それはトラマドールでも同様という。

医薬品医療機器総合機構（PMDA）の専門委員からは禁忌が妥当との意見もあったが、同省としては、▽日本人でのUMの頻度が欧米人に比べ低く（caucasian：１～10％、日本人：0.5～1％）、国内における小児の呼吸抑制のリスクは欧米と比較して遺伝学的に低いと推定される▽コデイン類含有製剤によると疑われる死亡例の副作用報告はされていない▽これらを踏まえると、コデイン類含有製剤の小児での使用に関して直ちに制限する必要性は考えにくい－－と判断し、まずは予防的な対応として「重要な基本的注意」で使用を制限する対応をとった。

そのほか改訂指示のあった薬剤と指示内容は以下のとおり（カッコ内は成分名、会社名）。

▽ロキソニンパップ、同テープ（ロキソプロフェンナトリウム水和物（外皮用剤）、リードケミカル）、同ゲル１％（同、第一三共）、ロキソプロフェンナトリウム外用ポンプスプレー１％「YD」（同、陽進堂）他