日医・横倉会長 新薬創出加算の原資は税制やAMEDの補助金活用を
公開日時 2017/04/07 03:50
日本医師会の横倉義武会長は4月6日、定例記者懇話会で、現行の新薬創出加算・適応外薬解消等促進加算の財源を公的医療保険から捻出するのではなく、税制や日本医療研究開発機構(AMED)の補助金に振り替えるべきだと主張した。
横倉会長は、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の総額である790億円を税制やAMEDの補助金で賄う姿がふさわしいと主張。「医薬品は公的医療保険の診療報酬の加算を原資に使うことなく、イノベーションの恩恵を社会全体に広く還元でき、日本発の新薬を国際展開する」と述べた。ただし、「全額を振り返ると言っているわけではない。併用するなどして、ある程度の部分を置き換えたらどうかという提案だ」と述べ、新薬創出加算の抜本的な見直しが必要との考えを示した。また、新薬創出加算を外資系企業が取得するケースが多いことから、内資系企業へのエールであるとのスタンスも示した。
なお、AMEDの補助金は創薬シーズの探索や橋渡し研究などのサポートを目的としており、アカデミアの補助に主眼が置かれている。製薬企業が十分に投資できない、アンメット・メディカルニーズの薬剤探索や基礎研究などへの補助が行われている。製薬企業が補助を受けられるのは、ウルトラオーファンなどの医師主導臨床研究に限られているのが実情だ。制度の目的から、製薬企業にとっては最もコストがかさむ、臨床応用を見据えたフェーズ3などの開発後期段階は補助の対象に含まれていない。厚労省側も、製薬企業側の原資は薬価でしか賄えないとの見方を強めている。
◎かかりつけ医の評価 地域包括診療料は連携でも算定可能に
2018年度改定で焦点となる、かかりつけ医の評価については、「地域包括診療料・地域包括診療加算を算定されやすい形にする」と主張する考えを示した。現行の要件では「常勤医師が2人以上在籍」することが求められているが、診療所などではクリアすることが難しいことも指摘されている。横倉会長は、この要件を近隣の医療機関などとの連携でも可能とするよう、要件の緩和を求めていく姿勢を示した。
かかりつけ医と、19番目の専門医として注目を集める総合診療医との切り分けも焦点のひとつだが、かかりつけ医は、地域医療や医療政策をはじめとする医療提供体制全般に全責任を持つとし、「日本の医療提供体制の土台を支える最も重要な役割だ」と説明した。一方で、総合診療医は「あくまで学問的な見地からの評価によるもの」と述べた。
かかりつけ医については、診療などの医療機能だけでなく、地域住民との信頼関係を構築し、健康相談や健診など地域における社会的活動・行政的活動への参加など”社会的機能”を有すると説明。「健康管理では、健康診断とかかりつけ医の役割が十分に明確化されていない。さらに社会的機能を拡充していきたい」と述べた。