NPhA かかりつけ薬剤師指導料算定は約4割に 地方厚生局の算定にバラつきも
公開日時 2016/05/16 03:50
かかりつけ薬剤師指導料を算定する薬局は約4割--。日本保険薬局協会(NPhA)は5月12日の定例記者会見で、アンケート結果の中間報告を公表した。かかりつけ薬剤師の算定をめぐっては、要件のひとつである”地域活動の取組”について地方厚生局で取り扱いが異なることが指摘されている。NPhAの中村勝会長(クオール・代表取締役社長)は、「各厚生局の地域事情、歴史的背景があり、一律にはなりえない」としながらも、「(内容ではなく、実施主体の)団体などの呼称で良い、悪いの判断はあってはならないということで問題提起している」と述べた。そのほか、アンケート結果では、調剤基本料については、処方せん回数が月4万回超の調剤チェーンで集中率が高い薬局などで、点数が半分まで減算されるが、これに該当する薬局が2割であることなども示された。
◎処方せん回数4万回超などの基本料3は2割超に 基準調剤加算8割が取得できず
アンケート調査は、2016年度診療報酬改定を踏まえ、会員各社を対象に影響度を調査した。回答は47社、3994薬局から得た。調査期間は、2016年4月26~5月12日。
2016年4月以降の調剤基本料の届出については、処方せん回数や集中率などによる減算のない調剤基本料1については70.8%(2827薬局)で、改定前の94.8%(3785薬局)から2割減少した。処方せん回数と集中率で減算を受ける(月4000回超かつ集中率70%超 、月2000回超かつ集中率90%超 、特定の保険医療機関に係る処方せんが月4,000回超)調剤基本料2は、4.5%(179薬局)で、5.2%(209薬局)から大きな変化はみられなかった。
一方で、新設された処方せん集中率の高い大手調剤チェーンを対象とした「基本料3」(同一法人グループ内の処方せんの合計が月4万回超 で集中率95%超 、または特定の保険医療機関と不動産の賃貸借関係あり)を届け出る薬局は、24.7%(988薬局)となった。
これまでの二段階から一本化された基準調剤加算の算定を届け出る薬局は、22.9%(916薬局)で、改定前に24時間調剤や訪問管理薬剤指導の体制整備などを求めていた施設基準2を取得していた20.4%(814薬局)と同水準となった。施設基準をとれない薬局は、77.1%(3078薬局)にのぼった。
◎中村会長「準備に時間 上期は慎重な点数体系」
かかりつけ薬剤師の届出数については、回答した全体の薬剤師数の39.2%(6518人/1万6606人)、健康サポート薬局については、15.1%(604薬局/3994薬局)が届出予定と回答した。
中村会長は、かかりつけ薬剤師などの新たな点数ができたことで、「準備に時間がかかる。会社単位で言えば、上期はより慎重な点数体系を敷かなければならない」と述べ、“マイナスの点数”であったことを当然のことと受け止めた上で、今後の改善に向けて前向きな姿勢をみせた。
特にかかりつけ薬剤師、特に算定条件である「医療に係る地域活動の取組に参画していること」については、地方厚生局で算定にバラつきがあることも指摘されている。「各地区における健康フェアの実績、医療の諸団体などの規定はされていないが、地区によっては主体で実施したケースでは、ダメだということになっている。学校などでの調剤業務の教育や、麻薬や覚せい剤の教育などもNOというところもある」と説明。医薬分業の中で薬剤師が患者のために活動し、なおかつ患者に理解してもらうことの必要性を指摘した上で、「うまくいくように時間をかけてしっかりやっていきたい。現実の矛盾などは情報としてあげないと、現場の薬剤師はやりづらい」と述べ、地域の事情を鑑みながらも、全国での情報を集約し、発信することで、理解を求めていく姿勢も示した。