順天・小林弘幸教授 便秘症薬アミティーザ 高齢者や長期治療でも使いやすく
公開日時 2013/12/20 03:50
順天堂大学総合診療科教授の小林弘幸氏(写真右)はこのほど、アボットジャパン主催のプレスセミナーで「侮れない高齢者の便秘とその解消法」と題して講演した。便秘症治療薬として汎用されてきた酸化マグネシウムは、長期使用に伴う高マグネシウム血症のリスクがあったほか、骨粗鬆症治療薬ビスホスホネート製剤と併用できなかった。これに対して約30年ぶりの新薬として12年11月に登場したアミティーザ(一般名:ルビプロストン)にはこうした制限がないことから、小林氏は「長期にわたり治療が必要な患者や高齢者にも使用しやすい」との見方を示した。
治験で示された排便回数の増加や便性状の改善(軟便化)といった有効性について、実臨床下でも手応えが得られているとして、「長期処方解禁を機に、高齢者など多くの患者で効果を発揮していくだろう」と述べた。
小林氏によると、便秘症に悩む多くの人が一般用医薬品(OTC)で改善を試み、受診患者の多くが長期間にわたるOTCの大量服用によって重症化や腸管炎症などを来たしているという。新薬の登場などで、便秘に悩む人の受診意識が少しずつ高まりつつあるものの、依然として、自己流の対処法で悪化するケースが後を絶たないと指摘した。一方、医療者側も便秘症を軽視しがちな傾向があり、適切に対応されずに外科手術を要する症例が紹介されてくる場合もあると状況を説明した。
アミティーザなど便秘症治療薬を用いた治療のポイントとして小林氏は、▽数か月に1回は電解質や腎・肝機能を検査する▽難治例には腹部レントゲンを撮影し、イレウスがないか確認する―を挙げた。また、食事摂取量が不変または増加しているのにもかかわらず体重減少が進む患者の場合も注意が必要で、専門医への受診が推奨されるという。
小林氏は、便秘症の原因について腸内環境の悪化が関係していると説明した。その上で、現代人の生活の特徴とも言える▽朝食抜き▽ストレスの多い生活(交感神経優位)▽食物繊維の少ない食生活▽若年女性のダイエット嗜好―の状況下では、患者の増加が避けられないとした。また、糖尿病やうつ病、パーキンソン病では便秘症を合併することから、患者、医療者に「一生を通して便秘症の治療が必要となってくる」と適切な対応を促した。
なお、ミクス編集部が実施した全国156病院への薬剤採用調査では、アミティーザの採用率が48.7%で約半数の病院に採用されていた。12年8月~13年5月に発売された新薬の中でトップの採用率であったが、便秘症治療におけるアンメットニーズの高さが反映されているものとうかがえる。