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【ASCO特別版】骨転移のある泌尿生殖器がん デノスマブ投与で骨関連イベントをゾレドロン酸に比べ有意に抑制

公開日時 2013/06/12 14:00

骨転移のある泌尿生殖器がんにおいて、デノスマブはゾレドロン酸と比べ、初回の骨関連イベント発生までの期間が有意に長く、累積イベント数が有意に少ないことが、2つの臨床第3相試験のデータを事後解析した結果から分かった。ポルトガルHospital de Santa MariaのLuis Costa氏らの研究グループが、5月31日~6月4日まで米・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)のポスターセッションで、3日発表した。

 

研究は、試験デザインが同一の2つの臨床第3相試験のデータから、1カ所以上骨転移のある泌尿生殖器がんにおける、デノスマブとゾレドロン酸の有効性と安全性について事後解析したもの。2試験の対象は、1つは前立腺がん患者で、もう1試験は乳がんと前立腺がん以外の固形がん、または多発性骨髄腫患者だった。どちらの試験も、ECOG PSが0~2で、適切な臓器機能があり、余命6カ月以上であることを登録基準とし、▽デノスマブ120 mg皮下投与+プラセボ静脈投与4週毎群(以下、デノスマブ群)▽ゾレドロン酸4 mg静脈投与群(用量は腎機能により調整)+プラセボ皮下投与4週間(以下、ゾレドロン酸群)――に1:1の割合で無作為に割り付けた。主要評価項目は、最初の骨関連イベントまでの期間とし、副次評価項目はSRE累積数とした。また増悪までの期間と全生存、有害事象についての評価も行った。

解析対象は、デノスマブ群1052例、ゾレドロン酸群1076例の計2128例。平均年齢は、デノスマブ群69.5歳、ゾレドロン酸群70.1歳、ECOG PSが0また1の割合がデノスマブ群91.9%、ゾレドロン酸群92.6%、骨関連イベントの既往がデノスマブ群29.2%、ゾレドロン酸群29.9%、骨転移からの期間はデノスマブ群3.5カ月(中央値)、ゾレドロン酸群4.7カ月(中央値)、がん診断から骨転移までの期間はデノスマブ群21.2カ月(中央値)、ゾレドロン酸群21.0カ月(中央値)だった。腫瘍の部位は、前立腺 がデノスマブ群90.3%(950例)、ゾレドロン酸群88.4%(951例)、腎臓がデノスマブ群6.7%(70例)、ゾレドロン酸群7.9%(85例)、膀胱がデノスマブ群2.7%(28例)、ゾレドロン酸群3.3%(35例)だった。

初回の 骨関連イベント発生までの期間は、ゾレドロン酸群の16.7カ月に対し、デノスマブ群は20.7カ月で、デノスマブ群は有意に4カ月長いことがわかった(ハザード比(HR): 0.81、95% CI: 0.71 – 0.93、p=0.0036)。

前立腺がん患者と、それ以外の泌尿生殖器がん患者に分けて解析したところ、前立腺がん患者ではゾレドロン酸群17.1カ月、デノスマブ群は20.7カ月で、デノスマブ群に3.6カ月の有意な延長が見られた(HR: 0.82、95% CI: 0.71 – 0.95、p=0.0085)。一方、前立腺がん以外の泌尿生殖器がん患者においても、デノスマブ群がゾレドロン酸群に比べ、長い傾向が見られたが、有意差はみられなかった(HR:0.75、95% CI: 0.48 – 1.15、p=0.19)。
骨関連イベントの累積発生数は、ゾレドロン酸群の653例に対し、デノスマブ群544例で、デノスマブ群が有意に少なく(相対リスク(RR): 0.82、95% CI: 0.72 – 0.93、p=0.0023)、前立腺がん患者のみを対象に解析しても、ゾレドロン酸群584例に対し、デノスマブ群494例で、同様にデノスマブ群で有意に少ない結果となった(RR: 0.82、95% CI: 0.71 – 0.94、p=0.0044)。前立腺がん以外の泌尿生殖器がん患者では、ゾレドロン酸群79例、デノスマブ群50例で、デノスマブ群にリスクが低率である傾向がみられたが、有意差は認められなかった(RR 0.81、95% CI: 0.55 – 1.18、p=0.27)。

増悪までの期間は、ゾレドロン酸群 、デノスマブ群ともに8.4カ月(HR:1.06、95% CI: 0.96 – 1.18、p=0.26)、全生存期間はゾレドロン酸群19.8カ月、デノスマブ群19.5カ月(HR :1.02、95% CI: 0.90 – 1.15、p=0.75)で、どちらの評価項目も2群間に有意差はなかった。

投与回数は、ゾレドロン酸群が10回、デノスマブ群が12回だった。ゾレドロン酸群では血清クレアチニン値上昇により用量を調整することが事前に定められており、ベースラインで用量調整を行った割合は24%(前立腺がん患者22.9%、その以外の泌尿生殖器がん患者32.5%)、試験期間中に投与を中止したのは14.5%(前立腺がん患者15.1%、その以外の泌尿生殖器がん患者9.8%)だった。

有害事象の発生率は、ゾレドロン酸群96.8%、デノスマブ群96.9%だった。重篤な有害事象はゾレドロン酸群60.2%、デノスマブ群62.8%、腎臓での有害事象(血中クレアチニン上昇、腎不全、急性腎不全、タンパク尿、乏尿など)はゾレドロン酸群15.9%、デノスマブ群14.6%で、2群間に差はみられなかった。顎骨壊死は、ゾレドロン酸群1.6%に対し、デノスマブ群2.2%で、デノスマブ群で高率となる傾向はみられたが、2群間に有意な差はみられなかった(p=0.34)。一方、低低カルシウム血症の発生率は、ゾレドロン酸群6.2%に対し、デノスマブ群12.9%で、デノスマブ群で高率にみられた。

結果を報告したCosta氏は、「骨転移のある泌尿生殖器がん患者において、デノスマブはゾレドロン酸と比べ、最初の骨関連イベント発生までの時間を有意に延長させ、さらに累積発生数を有意に抑制した」とまとめた。また、前立腺がん以外の泌尿生殖器がん患者のサブグループ解析において、デノスマブ群で、初回の 骨関連イベント発生までの期間延長や累積発生数の抑制傾向がみられたものの、有意差が認められなかった点については、「症例数が少ないことが原因である可能性がある」とコメントした。その上で、増悪までの期間と全生存期間、また有害事象の発生率において2群間に有意差は認められなかったと指摘。「新たに骨転移が認められた泌尿生殖器がん患者に対しては、デノスマブが第一選択になるべきではないか」との見解を示した。

 

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