薬粧連合調査 生産現場での適切な人員確保に否定的な声が6割 GMPで改善阻断念の声も3割
公開日時 2024/09/18 04:50
医薬化粧品産業労働組合連合会(薬粧連合)は9月17日、安定生産をめぐる従業員の意識・実態調査の結果を公表した。生産計画や製品に応じた適切な人員確保ができているかについては否定的な声が6割にのぼった。エラーやミスの発生についても約2割が増加していると回答しており、人材確保が困難な中で一人当たりの業務量が増加し、十分な人材教育が行われていない状況にあるとした。一方で、こうした課題を解決するデジタルなどの利活用についてはGMPなどの規制で3人に1人が改善を断念した経験があるとの調査結果も報告した。
調査では、「生産計画や製品に応じ、適切な人員数が確保できているか」と尋ねたところ、「あまりそう思わない」(36%)、「そう思わない」(22%)で6割にのぼった。製造業においても、2000年初頭の6万人から20年台には4万2000人まで減少していることを紹介した。人材教育・OJTについても、「法令で定められた専門教育(GMPなど)」や「安全教育」については十分行われている声が多数を占めたが、「業務上必要な知識・技術を得るための人材教育・OJTが行われているか」については否定的な声が3割にのぼり、エラーやミスの発生についても約2割が増加していると回答した。
一方で、「GMP等の規制により新規取り組み・変更や改善を断念したことがあるか」尋ねたところ、3人に1人が断念したことがあると回答。システム/IT部門では50%以上が断念した経験を持っているとの結果を紹介した。
結果を報告した大竹史哲副会長(ツムラ労働組合)は、「人材不足、生産性向上への対応が求められる中で、持続的で安定的な生産活動に直結する、自動化や無人化、AI活用などの導入を阻む規制環境がある」と指摘。「国民のための安定供給体制の確保が、現場に働いている者の使命感。ただの現場の不満や課題感で終わらせず、どうしたら達成できるか現場目線での提案に今回のデータを活かしていきたい」としている。
調査は、医薬品の安定生産の為に働いている加盟組織の組合員が、日々の業務の中で感じているハードルや非効率な環境、仕組みや制度、ルールなどの現状および課題の把握、政策課題にどのような関係性、影響度合いがあるのかを確認する目的で、Webで実施。生産業務に従事する組合員を対象に実施し、5007件の回答を得た。調査期間は2024年7月2日~7月31日。