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シミックHD・中村会長 描く将来像は「全く新しいヘルスケアサービスの企業」 3月28日付で上場廃止 

公開日時 2024/03/29 04:51
マネジメント・バイアウト(MBO)を進めていたシミックホールディングス(HD)が3月28日付で上場廃止した。臨床試験など製薬企業のバリューチェーンを支える同社は株式の非公開化で、自己資本による柔軟な構造改革を加速させていく方針を示す。「僕らが目指すのは、全く新しい形のヘルスケアサービスの会社だ」―。中村和男代表取締役会長CEOに決断に至った背景や目指す将来像を聞いたミクス3月号のインタビューを再構成して掲載する。

◎事業の構造改革とチャレンジングな取り組みを加速

コアビジネスであるCROをはじめ、SMO(治験施設支援機関)やCDMO(医薬品開発製造受託機関)などを展開し、製薬企業のバリューチェーンの全てを支えてきたシミック。一方で、新型コロナを経て抱いたのは、創薬力をはじめとした日本の製薬業界への「強い危機感」だと中村会長は警鐘を鳴らす。コロナのワクチン開発では、国内企業は出遅れ、ファイザーやモデルナなど外資系企業に頼らざるを得ない状況が生まれた。また、未曽有のパンデミックの中、研究開発や臨床試験、薬事承認といった従来のバリューチェーンとは異なる形が形成された。中村会長は、「これまでの当たり前がそうならない時代」と表現。「リーダーシップをとって事業の構造改革とチャレンジングな取り組みを加速させることがベストだ」と非上場に踏み切った決意を明かしてくれた。

◎CROでのデータ活用や患者中心のヘルスケアへ

「チャレンジングな取り組み」として臨床試験分野でのDXやAIの活用による変革を掲げる。例として、同社の電子お薬手帳「harmo」を挙げ、「自治体やマイナンバーとの連携を進め、個人の健康データも含めてデータベース化することで臨床試験の効率化やサポートにつなげていける」と期待した。事業の核となるCROも「もっと進化させ、同時に日本の強みであるデータを活用していく形が大事だ」とも強調する。

患者を中心としたヘルスケアの新しいビジネスについて中村会長は、「個人を中心としたヘルスケアのレボリューションを見据えてビジネスモデルの構築を進めてきた」と語る。掲げたのは病気を「治す」、「予防する」だけではなく、病気があっても日常生活を全うできる「IKIGAI(生きがい)」というテーマだ。自治体による高齢者支援や、自然災害やパンデミックなどを想定した備えなどヘルスケアの分野では多くの課題が山積する。これまで培ってきたノウハウを生かしながら課題に取り組む上で、中村会長は、「ヘルスケアのプロフェッショナル人材と、課題解決のプロデュース機能、さらにDXやデータの活用」をキーワードとして、ビジネスモデルの構築を加速させるという。

◎日本の新薬開発力が揺らぐ中「構造改革は必須」

日本の創薬力の強化へ急務とされる創薬エコシステムだが、思うように体制構築が進んでいないのが現実だ。少子高齢化が進む人口構造や日本特有の薬価制度もあり、市場としての魅力は「必要以上に過小評価されている」。世界のバイオ企業やベンチャーが興味を示さず、ドラッグ・ラグ/ロスにつながる悪循環も生まれている。

中村会長は、「我々の“一丁目一番地”である製薬産業を支えるビジネスの根幹、創薬力が揺さぶられている」と指摘。創薬力強化を支援する仕組みづくりという観点からも「構造改革は必須だ」と捉える。

◎新たなビジネス展開へ「創業時と同じ気持ちで臨む」

「製薬企業に限らず、新薬の開発や細胞治療、遺伝子治療などそれぞれの分野の最先端に事業支援をする仕組みは持っていたい」。新たなビジネス展開の先にある姿を語る中村会長。目指すのはデータアクセスの幅を広げ、AIやDXを活用した治療の最適化を実現することができる「全く新しい形のヘルスケアサービス企業」だという。将来像を思い描く中村会長は「もう一度創業した時と同じような気持ちで臨む。それ以上かもしれない」と目を輝かせた。

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