アキュリスファーマ 国内ベンチャーとてんかん発作領域で包括的協業 社会課題解決へ
公開日時 2022/07/05 04:50
神経・精神疾患領域の新薬開発や商業化を推進するアキュリスファーマ(東京都港区、綱場一成社長兼CEO)は7月4日、ノックオンザドア社(東京都新宿区、林泰臣代表取締役)とてんかん発作領域における包括的協業で合意したと発表した。ノックオンザドアは、てんかん診療プラットフォーム「nanacara(ナナカラ)」、「nanacara for Doctor」を提供するベンチャー企業。両社はまず治験のDX化を進める考えで、具体的にはアキュリスが今後、日本で実施する新薬の治験において、ノックオンザドアは被験者の家族が発作、体調、薬剤投与などの情報を記録するための治験仕様の電子日誌アプリを制作・提供する。アキュリスは、ノックオンザドアが有する知見を活用して簡便かつ正確で信頼性の高いデータ収集を図る。
アキュリスは、繰り返すてんかん発作を抱える患者やその家族・介護者がより安心して、自分らしく生活できる社会を実現するため、てんかん発作に対して医療機関外で家族・介護者が発作に対応する手段を届けるべく、日本でジアゼパム経鼻スプレーの開発準備を進めている。同時に、新しいテクノロジーやサービスを活用し、てんかん発作に地域社会全体で対応するエコシステムの構築も推進している。
今回の協業では、治験に係る取り組みと並行して、てんかん発作に対して速やかな医療的支援の提供が可能な社会づくりを目指し、「nanacara」を通じて蓄積されたてんかん発作に関連するリアルワールドデータを活用した研究も予定している。両社は、「日本におけるてんかん発作の実態や課題について明らかにし、その研究結果を今後のてんかん発作の医療提供体制の整備等に役立てていくことを目指す」としている。
てんかんの原因、症状、重症度は患者によって異なり、てんかん発作も患者ごとに多様な性質をもっている。その中でも、1日に何度も繰り返される発作や一定時間が経過しても停止しない発作を抱える患者では、脳へのダメージ、生命予後への影響が懸念され、速やかな治療介入が必要とされる。しかし、現在は、救急車で医療機関に搬送し、医療関係者による投薬治療を受けることが中心で、救急車を呼んで医療機関に到着するまで平均約40分を要することから、時間の障壁も指摘されている。